内容説明
後にトロイア発掘によって世界的な名声を得ることになるシュリーマンは、「黄金郷ヒライズミ」の地図を預かる。一攫千金と名声獲得の野望を胸に、シュリーマンは奥州藤原氏の財宝探しに幕末の日本に渡る。稀少な手がかりを元に財宝の在処を平泉北西の北上山地と割り出し、山道険しい藪の奥を分け進む。財宝目当ての争いに、シュリーマンも短銃を手に持ち構える。はたして財宝は見つかるのか、そして義経北行伝説の真相とは?(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
瀧ながれ
25
トロイを掘るための資金を必要としているシュリーマンが、陸奥の隠し財宝を探しに日本へ。西洋の文化人は東洋の蛮族の持ち物などどのようにでもできる、という思いが、日本人と近く交流するうちに変化していくのがほのぼのと嬉しかった。東洋人を蔑視する西洋人の構図が、アイヌを蝦夷と呼ぶ日本人に重なるのも、読んでいて自然に呑み込める。といったあれこれは、最後に奥羽の宝が明らかになったところで吹っ飛んだ。予想はできていたのに感動。「だから、彼は旅を続けなくてはいけない」という結論にはトリハダがたちました。納得です!2017/12/18
Euki
16
九郎義経公におかれましては昨日自刃なされ、弁慶殿も立ち往生召され果てましてございます。って、大河の最終回でですけど。場所はその奥州。時代は幕末、藤原氏の秘宝をシュリーマンが、なんて奇想天外な話、とおもうでしょ、でも、深い話なんですよ。西欧と日本、日本人と蝦夷地のアイヌ、源氏と藤原氏、持つ者と持たざる者、支配する者と支配される者。最後、無理して安易に終わらせなくてもよいのにねぇ。長くなっても読むに耐える作品になったと思うよ。初作家さんだったんだけど、他の作品、読みたいわ。2012/12/24
TheWho
13
トロイ遺跡発掘前のシュリーマンが、歴史愛好家の友人に託された奥州藤原三代の秘宝を探す為に来日し、秘宝探索の冒険を巡る物語で、幕末期にシュリーマンが、来日した実話をモチーフにした歴史ミステリー。シュリーマンは、鎌倉幕府の歴史書「吾妻鏡」を読み解き、平泉に残る伝承や古地図などを手掛かりに奥州藤原氏の秘宝に辿りつく行は、ホメロスのイリーアスからトロイ遺跡に探究した考古学者の片鱗を見せていた。そして藤原氏の秘宝と義経伝説、また後に著作で日本を絶賛したシュリーマンを絡めて一風変わった歴史ロマン満載の面白い一冊でした2014/09/02
あぶらや
11
ジャンルとしては大好きな伝奇もの。 物語はトロイア発掘のシュリーマンが平泉藤原氏の隠し財宝を探し求める。 シュリーマンは江戸時代に来日していて日本を絶賛する手記を発表している。 義経伝説もからんで、お宝はあっと言うようなものの大団円。 題材も設定も大好きなものなのにページは活発に進まなかった。 しかし、シュリーマンも驚いた平泉藤原氏三代の栄華は武士も卑賤のものも皆同じと言う思想は凄い。2015/10/02
みっちゃんondrums
9
トロイの遺跡を発見する前のシュリーマンが、幕末の日本に来て奥州藤原氏の秘宝を探していたなんて、さすがの発想。ラスト近く、作者と同じ東北生まれの人間として感動した。物語の面白さとともに、欧米人が自分たち以外を蛮人として蔑視していたと同様に、日本人も蝦夷やアイヌを蔑視していたこと、さらに現代にもある差別や地域格差などを改めて意識させられる。2014/02/03




