内容説明
櫛流村の名主の娘・ふゆを娶った絵師・爛水は、丸窪藩主のために一年かけて城の書院の襖と壁に絵を描く約束をする。折しも、藩内では次席家老・遠見資正が筆頭家老の座を狙っていたが、爛水はその企みの懐で何かを画策しはじめる。書き下ろし時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ソババッケ
3
前作の「花鎮めの里」の不自然な終わり方も、この「くれないの道」を読むとすっきりしてくる。今回は、回船問屋・金崎屋と丸窪藩の次席家老・遠見資正とのしがらみが明らかにされていく。結末は見えてくるのだが、ぐいぐいと引き込まれていく展開はさすがである。読み進めていくうちに、あのデュマの名作を思い出した。どうしても爛水とエドモン・ダンテスの姿が重なって仕方がない。それにしても、最後に、多嶋屋のりつとのやり取りで、「私には、まだやらなければならないことがあるのです」という言葉が気になる。★3.82013/03/10
yuri
1
前巻を読んでいないのですが、普通に楽しめます。爛水はダークヒーローなんですかね、結構な事件が起こるのに、意外に淡々と進んでいくのが不思議な余韻をもたせますね。2013/02/27