内容説明
自分ではどうにもならないできごとに見舞われたとき、ひとが見る景色はどう変わってゆくのか――。2001年の米国同時多発テロを機に、胸の中に芽生えた様々な想いを、ニューヨーク在住の著者が大切に綴った7つの物語。誰の身にも起こりうる人生の転機と、ささやかな奇跡を優しく掬いとった短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
らす
14
2001年9月11日、同時多発テロで変わって行った生活や気持ちを綴った7つの短編。作者の野中さんはニューヨーク在住だそう。7つの短編の中には野中さんの気持ちも散りばめられているように感じる。9.11が背景だけど、基本のストーリーは登場人物の生活や恋愛や人間関係。登場人物達は直接的な被害に遭ったわけではないけれど、大きな気持ちの影響があったはず。私は自然と3.11と重ね合わせる部分がありました。2015/11/22
yamakujira
3
「凧、つかむ」「天使のシンバル」「犬のうなじ」「だまされ星は、やさしい光」「椰子がなくちゃ、生きていけない」「月の穴」「銀河を、木の葉のボートで」の7編は、どれも「9・11」の影響を大なれ小なれ受けた話で、登場人物がちょっぴり交錯するけれど、連作じゃないし、それぞれの物語に関連があるわけでもない。なのに、似たように歪んだ女性ばかりで、彼女たちの心情にまったく寄り添えない上に、どの物語もただただ退屈だった。なにが「ささやかな奇跡」なのか、どこに「希望の光」があるのかもわからないや。 (★★☆☆☆)2019/10/03
さつき
3
野中ともそって数は読んでいないのですがひそやかにすごく好きな作家です。距離も時間も関わり方もそれぞれではあるけれど911をきっかけに大きく変わってしまった関係を持つ男女の話かな、そうまとめるとちょっと違うかな…。直接の被害者でなくても大きすぎる事件は個人のそれまでの生活を大きく変えてしまうということを、大げさな悲劇ではなく淡々とした日常の延長の中で示す、そんな色合いの短編7編。「凧、つかむ」のラストシーンの鮮やかさが鮮烈、あと個人的にすごく好きなのは「犬のうなじ」2013/06/20
まめの助
2
★★★☆☆9.11をきっかけに、人生観が変わった人達のお話。読了が偶然9.11とは。この日が来ると、どれだけの悲しみが溢れたかと、勝手に想像し苦しくなってしまう。けれど、悲しい出来事は毎日どこかで起き、ずっと昔から繰り返されてきた。それを抱えて、死ぬまで生きなきゃいかん。小さな光が必ずあるから。と、優しく言われた気がする。2015/09/11
dirk
2
911をテレビのニュースで見た時の衝撃は今でもハッキリと思い出す事ができる。自分達は311によって、直接的に、間接的に、差異はあれど人生は変わった。登場人物達は直接的ではないのでとても重い話という訳では無い。いつもの野中さんとは少し異なる雰囲気がそれに合わさると、逆説的に野中さんはこれ以上重い話を書けなかったのではないか、つまりその位当時の野中さんの心に311は影を落としたのでは、と思った。好きな作品です。2013/07/18
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