内容説明
廃棄処分を免れたボイルドとウフコックは、“三博士”のひとりクリストファー教授の指揮の下、9名の仲間とともにマルドゥック市へ向かう。大規模な再開発計画を争点にした市長選に揺れる街で、新たな証人保護システム「マルドゥック・スクランブル-09」の任務に従事するボイルドとウフコックたち。だが、都市政財界・法曹界までを巻き込む巨大な陰謀のなか、彼らを待ち受けていたのはあまりにも凄絶な運命だった――
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ずっきん
70
面白さがクランチ文体との相性の悪さを凌駕する。物語の糸は撚り合わせられ、織られ、登場人物たちの柄は美しく浮き上がる。極上の布のごとし。それでも読む手が滞りがちなのは、前日譚である以上、どれほどの悲劇が待ち受けているのか想像がつくからである。スクランブルへの伏線のようなシーンを読む度に歯ぎしりする。アナキン→ダースベイダーどころじゃない。戦慄を越えてもう泣きたい。だからこの巻で言っておく。ボイルド最高!幸あれ!2021/02/09
明智紫苑
35
『アノニマス』を読むまでの復習としての再読。カトル・カール、メガテンシリーズの金子一馬氏のイラストで観てみたいな。そう、永野護氏よりも金子氏の作風の方が向いていると思うのね(寺田克也先生、ごめんなさい)。この集団の過去が実に気になるね。その辺は『アノニマス』でも明かされているのだろうか? 問題の『アノニマス』は今はこちらと『フラグメンツ』を読み終えるまでは買わない。2016/03/27
ももちよ
28
物語が加速しています!ナタリアと赤ちゃんが気になるどうか幸せになれますようにーーー2015/01/14
geshi
20
09メンバーもキャラ濃いが、敵対するカトル・カールはもはやぶっ飛んでいる次元で存在がアウト。異能VS異常の限界を突破したバトルが同時進行で展開し、振り切ったスピード感に乗せられる。一方で、ヴェロシティの利権争いと絡み合う血脈をもっと丁寧に説明して欲しくはあるな。ボイルドが手にしたナタリアとの繋がり、再び手に入れた未来への微かな希望に、もう次の3巻での嫌な展開しか予感できない。2015/04/08
不羈
15
衝撃限界を超える瞬間。 読む毎に哀しみ/苦しみが募るし、虚無へと辿る道筋が新めて見えてくる。 そして、改めて数々の伏線に気付く。 大好きな一冊に変わりはないが、改定版を出すなら、ミステリーの要素に厚みを持たせて欲しいな。最高の作品になると思う。2012/09/17