角川文庫<br> 昭和二十年夏、女たちの戦争

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角川文庫
昭和二十年夏、女たちの戦争

  • 著者名:梯久美子【著者】
  • 価格 ¥638(本体¥580)
  • KADOKAWA(2013/10発売)
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  • ISBN:9784041003824

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内容説明

人生で最も美しい時を戦時下で過ごした5人の女たち。作家・近藤富枝、評論家・吉沢久子、女優・赤木春恵、元JICA理事長・緒方貞子、作家、評論家・吉武輝子。彼女たちには、明日の見えない日々でさえも、その日常には青春の輝きがあった。妻でもなく、母でもなく、ただの若い女性だった彼女たちは、あの戦争をどのように生き抜いたか。大宅壮一ノンフィクション賞受賞の作家が綴った、あの戦争の証言を聞く。

目次

実らないのよ、なにも。好きな男がいても、寝るわけにいかない。それがあのころの世の中。それが、戦争ってものなの。(近藤富枝)
空襲下の東京で、夜中に『源氏物語』を読んでいました。絹の寝間着を着て、鉄兜をかぶって。本当にあのころは、生活というものがちぐはぐでした。(吉沢久子)
終戦直後の満洲・ハルビン。ソ連軍の監視の下で、藤山寛美さんと慰問のお芝居をしました。上演前に『インターナショナル』を合唱して。(赤木春恵)
はじめての就職は昭和二〇年春、疎開先の軽井沢。三笠ホテルにあった外務省の連絡事務所に、毎日、自転車をこいで通いました。(緒方貞子)
終戦翌年の春、青山墓地で、アメリカ兵から集団暴行を受けました。一四歳でした。母にだけは言ってはいけない、そう思いました。(吉武輝子)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

396
74年目の敗戦の日に。5人の女性たちの戦前、敗戦、戦後が語られる。姉妹編の『昭和二十年夏、僕は兵士だった』とは随分受ける印象が違う。男たちのそれは、ほぼ共通して観念としての戦争があり、女たちのそれは観念ではなく、生のしなやかさがあるようだ。それは例えば、B29を見て「きれいだった」とする感性であり、敗戦の玉音放送を聞いて、それまではいていたもんぺを脱ぎ捨てて、きれいな浴衣に着替える感性である。最も象徴的なのは、冒頭で語られる、ヒロシマで被爆死した若い女性たちが身に付けていたワンピースのエピソードだろう。2019/08/15

KAZOO

106
これも梯さんの「僕は兵士だった」に続く5人の女性の戦争時期体験記を聞き書きしたものです。近藤冨枝、吉沢久子、赤木春恵、緒方貞子、吉武輝子さん5人の体験記です。個人個人本当に大変な努力をしながら生き抜いてきたということで、人には語れない努力やすさまじい人生経験をされた方もいます。それでもここに書かれている方はその後の人生において成し遂げた業績は大したものなのでしょう。そこまでいかない女性も数多くあったということも忘れないようにしなければ、という気がします。2015/08/30

かおりんご

47
あの戦争のとき、女性たちはどのように過ごしていたかの話。あさのあつこさんの「花や咲く咲く」を思い出しました。どんな逆境でも、女性は強いし逞しい!この本を読んで、気になる本が出てきたので、関連で読みたいと思います。2014/12/13

樋口佳之

35
彼女たちが語ってくれた具体的であざやかなエピソードを通して、私たちは、はるか遠いと思っていたあの時代に、ただ怖ろしいだけだと思っていた戦争というものに、わずかだが触れることができる。戦時下にもきらめく青春の日々があったことを、知ることができる/一人の女子学生が近づいてきて「今日お話を聞いて、はじめて戦時中のイメージがカラーになりました」と言った。それまではモノクロームのイメージしかなかったという。/「僕は兵士だった」と合わせて読む事をお薦めします。観念と理屈と仕事ばかりが頭に浮かぶような男性は特に(自戒)2018/11/19

松本直哉

33
「強姦で奪われたのは肉体ではなく生きようとする意志だった」14歳で駐留軍の兵士にレイプされて心を病み、自殺未遂まで図った吉武輝子さんへのインタビューが辛くて重い。同じような目にあって生き残れなかったであろう人々を思えばなおさら。なぜ戦勝国の性暴力だけが免罪されるのか、米国への憎しみがつのるが、いやむしろ、兵士の方こそ死と隣り合わせの恐怖ゆえの異常な精神状態で、それがレイプに走らせたのではないか、という被害の当事者からの加害者側への想像力。平和への一縷の望みはこのような想像力のうちにあるのかもしれない。2020/08/11

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