遠乃物語

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遠乃物語

  • 著者名:藤崎慎吾
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 光文社(2014/10発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784334928360

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内容説明

明治三十九年。台湾原住民の査察を終え、郷里の遠野に戻っていた人類学者・伊能嘉矩は、天ヶ森の熊野神社で、マラリヤの発作を起こして倒れる。目をさました彼は、介抱してくれた佐々木喜善とともに、「遠乃」という、郷里とは似て非なる町に迷い込んでいることを知る──。『遠野物語』成立前夜の遠野を舞台に、奔放自在に奇想が展開され、読む者を幻視の世界に誘う。京極夏彦、東雅夫両氏推薦の傑作長編!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Bugsy Malone

73
柳田國男が遠野を訪れる以前、後に柳田に物語を伝えた佐々木喜善(鏡石)は、人類学者伊能嘉矩と共に「遠乃」という巨大なマヨイガに囚われていた。語りは台湾から戻り郷里に帰っていた伊能嘉矩。「遠野物語」を上手に取り込んだお話しは、あたかも二人と共に幻想的な「遠乃」に迷い込んでしまったかの様に、自らも謎を含んだ虚実定まらぬ中を彷徨い続ける。とてもよく練られ、且つ雰囲気も堪らない。柳田版、京極版、水木版と共に大事にしたい1冊でした。2018/08/09

ワッピー

35
時は明治39年9月、人類学者・伊能嘉矩は附馬牛村の熊野神社で青年・佐々木喜善と邂逅する。マラリアの後遺症で体調を崩した伊能が佐々木の介助で帰宅したとき、そこはかつての遠野ではなかった・・・。村も家族も変わらないのに何かが違う。そして昔話が失われた「遠乃郷」で起こる怪事件の背後にあるものは?二人は囚われた郷から脱出することができるのか?民俗学スキーにはたまらない藤崎解釈のシン・遠野物語が紡がれます。台湾の民俗調査で知られ、遠野研究の先駆者でもある伊能嘉矩氏のことを本書で初めて知りました。地図もあると尚よし。2022/04/19

ナチュラ

25
読メのサイコロイベントで出会いました。 面白かった。 柳田国男「遠野物語」は有名ですが、この小説は その「遠野物語」に関係する実在の人物2人を主人公としたフィクション。 岩手県の「遠野」から《遠乃》というパラレルワールドへ迷い込むという話。奇怪な事件に巻き込まれたり、河童や天狗、山女? が登場したり、彼らは無事、「遠野」へ脱出できるか... ハラハラしました。 あらためて『遠野物語』を読みたくなります。2018/07/08

就寝30分前

25
「遠野物語」ならぬ「遠乃物語」。主人公たちは、かの柳田国男の「遠野物語」に関わった実在の人物。迷い込んでしまった「とうの」は同じ人、同じ風景、しかし常に感じる違和感。アナザーワールドで起こる不可思議な事件のからくりは!そして彼らはどうなってしまうのか!こういうストーリーは読んだことが無かったので面白かった。本家「遠野物語」が読みたくなった。2017/11/15

onasu

23
夏読みにお勧め。読んでいる間、遠野の「昔っこ」の世界で遊ばせてもらいました。  明治39年9月、遠野の熊野神社で出会った伊能嘉矩(カノリ)と佐々木喜善(キゼン)。人力車で帰途に着くが、着いた先には家族もいれば、集落もあるが、昔話がない他、遠野と少し違うところ。新聞や手紙の宛先から、そこが遠乃であることを知った二人は、探索する一方、他所に脱出を試みるが、そこは、どうにも出られないマヨイガだった。  100年前の設定の割に、そう感じさせないのは、いいのかどうか。二人は、遠野物語に関係した実在の人物です。2012/09/11

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