内容説明
聖司が生まれる前に父親が亡くなり、仕事を再開した母親に代わって彼を育てた祖母が生前遺した「ヒコイチ」という言葉がきっかけで大前美佐緒という女性を知り、聖司は道ならぬ恋心を抱く。一方、父親の死にも思わぬ真相が……。発酵という営みに人の生死や結びつきを重ね合わせ、命の根源に迫る長編小説。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kei302
57
宮本輝氏の作品ではこれが一番好き。ページ数が残り少なくなるのが寂しかったけど、余韻の残る終わり方で、味わい深い。死は人の終わりではない、そう言う意味では、私たちは不死なのだ。酵母菌、乳酸菌などと同じく、身体が消えてしまうけど、目に見えないものとして、空間には存在するなど、哲学的で深い。何度目かの再読。読むたびにハッとさせられる。2022/02/06
すしな
46
083-24.上巻に続き、神戸や京都などを舞台に、個性豊かな登場人物が繰り広げる人間模様に引き込まれました。みんなちょっとお茶目ないい人たちでした。過去の災悪を今の幸せに昇華させるストーリー展開もじんとくるものがありまして、当然映像作品があるんだろうなぁと思って探したところ意外なことになかったので、小説も多幸感に溢れていましたが、映像があったら間違いなく面白いだろうなぁと思った作品でした。終わりかたはあれで良かったようにも思いますが、後日談も見てみたいですね。読後の余韻が残りまくりです。2024/09/14
シュラフ
26
ここ数年の宮本輝作品は、高級料理とか、ゴルフとか、芸術家とかばかりの成金趣味だったり、震災復興に関しての政府批判のアナーキぶりだったりで、読んでいて辟易感があったのだが、ホンモノづくりをテーマとしたこの作品はよかった・・・。地震、火災、事件、など人の災厄はあれこれあれど、災厄の不幸が新しい出会いという結果になっていく。人間の命は限りあれど、こうした宿縁は子、孫の代へとつながっていく。こうした永続的なつながりが発酵という自然の営みと重ね合わさって、なんともいえない余韻となって心に残る作品となっている。2015/06/28
あんな
18
「時を育てる心」というものをこの本から教わった気がします。効率を重視して、中途半端になるよりも、遅くても丁寧に取り組める仕事に携わりたいと思いました。手を抜かずに一生懸命に。仕事のやり方は就職して3年で決まると聞くので、とりあえず3年間しっかり働こう。そうやって働けるところに就職できるようにあと少し就職活動がんばろうって元気をもらいました!2014/05/16
ぱぴこ*2
13
宮本輝さんの紡ぐ物語はいつも私の人生を豊かにしてくれる。巡り合わせの不思議さと熟成されていく人生の豊潤な深みに酔いしれました。エンディングがまた素晴らしい。まさに〝にぎやかな天地〟に私たちは生きている。【積み本:29】2025/08/30
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