内容説明
山形の寒村に中国旧満州地方から嫁いだ女・青鈴(せいれい)が二億円を持って消えた。青鈴を花嫁に斡旋した蔵田雄介はやくざに脅迫され、その足取りを追わされる。津軽海峡を渡り北へ北へと向かう青鈴と謎の男。日本の暴力団、中国の黒社会に加えロシア・マフィアが北の地で繰り広げる、船戸節全開の傑作バイオレンス。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
92
まあ人がナントカのようにバッタバッタとよく死にますわ(苦笑)。しかし、黒社会とそのビジネスには驚愕しました(需要と供給が一致しているところが恐ろしいです)。ロシア~北朝鮮~中国~新疆ウイグルのラインに日本が入るのは地政学的には必然なのかもしれません。2018/06/02
浦
10
船戸与一はささやかな希望も許さない。最期はどこまでも犬死にで、希望のかけらを運んで来ても、きっちり自分自身と共に持ち帰っていく。それはきっと何処までも現実に近い。2019/10/28
眠る山猫屋
10
東北での失踪花嫁探しは、北海道での連続殺人へ。あっさり人が殺されていくが、その多くが見知らぬ人々なので、ちょっと遠く感じるかな。従来の船戸作品とは毛色が少し違う作品なので(ややソフト!?)、馴染みにくいが、ラストはやっぱり船戸節。いや、エピローグみたいな部分があったから、なんだか別人の作品のよう。極端に悪い訳ではないのだが。 2013/05/28
すみちゃん
9
時々ハードボイルドものを読みたくなる。そのときは必ず船戸与一さんの小説を手に取る。読みだしたら止まらない。かなり分厚い小説が多いけど一気に読んでしまう。南米や東南アジアでアウトローに生きる孤独な男性が主人公という設定が多く、たいてい、男っぽくて格好いい。船戸さんはゴルゴ13の原作者の一人でもあるので、納得。でも、この小説はちょっと主人公が頼りないかな。2012/10/12
シロー
7
船戸作品にしては珍しくぐいぐい読ませる力が乏しかった。主人公をはじめ魅力的な登場人物が少ないのが最大要因。作中唯一魅力的だった鉄平さんの活躍の場が多ければ、また違った展開になったように思われ惜しい気がする。ps最大の衝撃は巻末の袖の「船戸与一作品」。これほどの大家でありながら絶版になっている作品が多数! 船戸さん過小評価過ぎるでしょ…2015/11/01