兄よ、蒼き海に眠れ

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兄よ、蒼き海に眠れ

  • 著者名:佐江衆一
  • 価格 ¥1,496(本体¥1,360)
  • 新潮社(2012/08発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784103090182

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内容説明

生命を惜しむということは、死を怖れることではない。大義のための死なら貴い。しかし……。瀬戸内の基地で「回天」特攻隊員として出撃を待つ兄は、たぎる想いと葛藤の日々を、日記と弟への手紙に綴った。学童疎開先から返事を書き続ける弟。だが東京大空襲で父母を、そして疎開先で妹を失う――著者渾身の書下ろし長編小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

taiko

45
浅草の質屋の息子昭二は、学童疎開で東北白石で集団生活を送り、兄善一郎は海軍の特攻兵として回天に乗船する訓練をしていた。ある兄弟の戦争の物語。…戦争の小説は、毎回辛く悲しい気持ちになります。親元を離れ、疎開先での生活は、子供にとってそれは寂しく辛いものだったでしょう。親元や戦地の兄からの手紙が心の支えというのは胸に染みます。人間魚雷回天という凄まじい兵器については、過去に読んだ『出口のない海』で知っていましたが、今回はその悲惨さはあまり感じることなく、ただ最後に善一郎が選んだと思われる道に苦しく→続く2019/06/18

mika

34
兄と弟の戦時中、それぞれの運命が描かれていた。兄は人間魚雷「回天」の特攻隊員、弟はまだ幼い妹を連れ空襲を逃げ惑うなど「出口のない海」や「火垂るの墓」を思い浮かべてしまう。中でも印象深かったのはやはり東京大空襲、3月10日のリアルな描写。戦争の悲劇がひしひしと伝わってくる…。戦争ものはただただ切ない気持ちにさせられるが、こうして平和な時代に生きているということ、美味しいものを当たり前のように食べているということ、あらためて色々な幸せを感じとらなくてはならないと思った…。2016/03/04

keith

30
人間魚雷「回天」の乗組員として出撃を待つ特攻隊員の兄。東京大空襲で父母を、疎開先で妹を亡くした弟。出征しても地獄、残っていても地獄。二人の書簡と兄の日記を通して戦争の不条理が伝わってきました。2016/05/02

みかりん

7
回天特攻隊員として出撃を待つ兄善一郎。学童疎開しながら、東京大空襲の戦果で父と母を亡くし、妹も失う弟昭二の兄弟の物語。戦争の話は読んでて本当に苦しくなります。絶対に繰り返しては行けない。今もウクライナとロシアの戦争が一番身近にありますが、戦争では何も解決できない。人間は言葉を話せる唯一の動物。それを良く考えなければいけない。2022/06/25

やまさん

6
人間魚雷と称される「回天」。海軍によって太平洋戦争末期になって開発された特攻兵器ですが、いったいどれだけの戦果があったのでしょうか?本書に描かれた「死」を覚悟した隊員たちの葛藤と「外道の統率」といわれる指揮官の精神状態はいかほどだったのか?当時の若者が自らの命を差し出し「祖国の未来のため」と信じ散っていった事実。彼らが願ったのは現在の日本の姿なのでしょうか?確かに一度は繁栄しましたがそれは経済における貸借対照表上のこと。はたして今の日本に白洲次郎氏のいう「プリンシプル、信義」はあるのかな?2018/05/07

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