出版社内容情報
深川佐賀町の裏店に住まう棒手振りの八五郎は、平凡かつ地味な男。人並み外れた影の薄さが悩みの種だが、独り身ゆえの気楽な貧乏暮らしを謳歌している。そんな八五郎は、ある夜、巷で噂の幽霊剣士「鳴かせの一柳斎」が旗本を襲う場に出くわす。物陰から固唾を呑んで闘いを見守る八五郎だが、一柳斎の正体が、隣の部屋に住まう浪人の雲井源次郎だと気づき──。影と秘密は江戸の華!? 期待の新鋭が贈る、書き下ろし傑作時代小説。
内容説明
深川佐賀町の裏店に住まう棒手振りの八五郎は、平凡かつ地味な男。人並み外れた影の薄さが悩みの種だが、独り身ゆえの気楽な貧乏暮らしを謳歌している。そんな八五郎は、ある夜、巷で噂の幽霊剣士「鳴かせの一柳斎」が旗本を襲う場に出くわす。物陰から固唾を呑んで闘いを見守る八五郎だが、一柳斎の正体が、隣の部屋に住まう浪人の雲井源次郎だと気づき―。影と秘密は江戸の華!?期待の新鋭が贈る、書き下ろし傑作時代小説。
著者等紹介
白蔵盈太[シロクラエイタ]
1978年埼玉県生まれ。文芸社主催の第3回歴史文芸賞最優秀賞を受賞し、2021年『あの日、松の廊下で(原題:『松の廊下でつかまえて』)』(文芸社文庫)で作家デビュー。会社勤めのかたわら、他とは一味違った歴史時代小説を精力的に刊行している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
akky本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
126
白蔵盈太さん初読み。「面白い!」と読友さん多くが感想を上げていて本屋さんでも一押しだったので買ってみた。平凡な長屋の住人・八五郎が巻き込まれてゆくテンポ好い展開で次々と「実は…」が笑える漫画のような楽しさ。登場人物の表裏のギャップと度々あるアクションシーンが効果的でサクサク読めた。人情+喜劇+活劇で、エンタメとして標準以上の内容は映像化にも向いている(どの役どころも演じたがる役者が多いだろう)。失礼ながら知らない作家さんだったが、次作も期待できる力量と感じたし、時代劇が苦手な人でも楽しめる良作だと思う。2024/12/02
タイ子
117
初読み作家さん。何だか評判がよろしいようで興味半分に読んで見た。評判に違わず実に面白い!このタイトルの意味がどんどん判ってくるにしたがってストーリー展開にワクワクしてくる。主人公の八五郎は長屋住まいの棒手振り。物を売り歩く仕事なのに、彼は影が薄すぎる。短所なのか、長所なのか。八五郎が目撃した巷で噂の幽霊剣士の正体。えっ!?実は…。そうなのです。この話はその実は…が続くのです。あの人、この人の裏の顔が実は…。時代劇のごとく展開する江戸の闇の世界。八五郎の裏も実は…。そして、ラストに登場するのが実は…。2024/06/18
ちょろこ
116
よくできている一冊。舞台は花のお江戸、深川佐賀町。超、平凡で地味で影が薄い棒手振りの八五郎はある夜、見てしまった、知ってしまった、旗本を襲う幽霊剣士の正体を。翌る日に隣の部屋に住まう浪人を見る目が変わり、まるで家政婦は見たと化した八五郎が面白い。その後もカードをめくってヒッとなるように次々と明らかになる八五郎の周りのあの人この人の別の顔。一人頭悩ませドキドキする八五郎を笑いながら応援しちゃった。見事に絡み合う人間模様は実によくできているわ。最後のカードはまさかのあの人!影は薄くても周りは…実に濃いじゃん!2024/12/08
☆よいこ
108
時代小説。ご近所さんの裏の顔▽深川の人情長屋に住む棒手振り(ぼてふり)の八五郎は、平凡で地味な男。あまりに気配が無さすぎて商売の青菜も売れないほど。巷で噂の「鳴かせの一柳斎」が侍に挑む場面に遭遇し、八五郎は一柳斎の正体が隣部屋の雲井源次郎だと気づく。同様に八五郎はご近所さんの裏の顔を目撃していく。ある大きな陰謀に巻き込まれた八五郎は影と隠密の秘密に切迫していく▽愉快で痛快な人情時代劇で、とても面白かったです。八五郎がんばれw2024.7刊2024/10/12
mike
86
異様に影の薄い男、棒手振り八五郎の住む深川。そこで夜な夜な現れる幽霊剣士の一柳斎の正体を知ってしまった事から思わぬ事件へ巻き込まれてしまう。馴染の深川の面々は実は裏の顔を持っており…と言うドタバタ時代劇。字面よりも映像化した方がより面白そうな感じ。サクッと読めて楽しいが、私個人としては文芸社文庫から出版された歴史シリーズの方が、白蔵作品の魅力が伝わって来て好みだな。2024/07/21