内容説明
性の目覚めは、すぐそこだ。惟朔(いさく)少年の、ヰタ・セクスアリス。入院していた父は家へ戻り、壮絶な最期を迎える。惟朔は、父親の常軌を逸した支配から、突然放たれたのだ。相変わらず学校には行かず、なっちゃんという看護婦さんや、片山さんという同級生に心を寄せて、秘密の時間を持つ。宙ぶらりんの心を抱えて迷走する少年が追いやられた場所は、あまりに惨かった。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
方々亭
2
昭和30年代の、米軍基地近くの立川の、まだ周りが皆同じように貧困だった頃の景色の中に入れる。主人公は明治生まれの父親から常識外れの英才教育を受けるのだけど、それとは別に、感じる力の豊さってものが主人公を周りの子どもたちとは異なった存在にしたんだと思った。それにしても小学生の頃から女の人にモテまくるのにはお口アングリするしかない。2023/08/26
Mary
1
花村萬月の自伝的小説。ガツンと来ます。惟朔の小学生時代。戦後という時代背景を差し引いても環境が劣悪すぎて読むのが辛かった。放蕩親父→極貧→不登校→性的逸脱→児相…。でも誰のせいでも無く、これでよいのかな。惟朔は強いから。2015/12/25
毛利武良
1
☆☆☆☆☆2012/10/01
momo
1
惟朔がとてもかわいそうで泣けてきます。小説になっているせいか、期待していたよりも漠とした内容です。具体的なことは、「父の文章教室」にゆずる、といったところでしょうか。ということで、「父の文章教室」再読です。かくして惟朔少年は、小説家になったのであった。2013/03/12
フミ
0
主人公の境遇が痛々しい。 素直で純粋な惟朔に感情移入した。2015/06/07