内容説明
惟朔(いさく)は、どうしても小学校に通えないのだった。昭和三十年代後半、府中刑務所のそばの、母子寮で暮らす母と惟朔、妹の薫。貧しいが原っぱの日溜まりのような呑気さがそこにはあった。ある日突然、父親との同居が始まり、惟朔の暮らしは一変する――。自伝的作品『百万遍』へと続く小学校一年から四年まで。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miki
4
★★★☆☆数年ぶりの花村萬月作品。百万遍シリーズの前日譚。主人公惟朔の全てに諦感的な生き方の原点ともいうべき幼少期。人たらしは子供でも健在。一時期花村作品にどっぷりだったので、独特の台詞まわしに小気味良さを感じる。後半も楽しみ。2016/09/08
方々亭
1
自伝的な長編。小学校入学くらいから始まる。これくらいの年代を描いたものとしては中勘助の『銀の匙』とか北杜夫『幽霊』がある。幼年から少年期に至る過程の微妙な感受性がありつつ、花村萬月らしい生命力の強さっていうものが早くも感じられる。2023/08/21
フミ
1
百万遍シリーズの主人公の少年時代を書いた話。 なんとも大人びた少年で面白い。2015/06/04
毛利武良
1
☆☆☆☆☆2012/10/01
dj敦也
0
大好きな作者の長編シリーズ! 時代背景が少し古いのは苦手でしたが、惟朔が転校したあたりからスラスラ読めました。父の存在に対して嫌な印象を抱いていた惟朔だが、結果として友人ができて新しい環境で楽しんでいることを見ると、やはり父親は何が惟朔に足りていないかというのがわかっていたのではないかと思う。男心とはすごい。
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