内容説明
『過去の改変』 から戻ったわたしに待っていたのは、彼の消失だった。そして、もうひとつ。わたしの歩けなかった足が、元通りになっていた。歩いている。わたしが、進んでいる。自分の足で。わたしが歩き回る姿に、島の住人は誰も驚いていない。慣れきっている。この世界の 『現在』 では、彼は九年前に死んでいた。その蔓延する常識が、わたしを苛み、蝕んでいく。わたしが歩ける毎日。それは彼が死んだ現代。まるで別の星へ飛んできてしまったようだった。決めた。わたしは必ず取り返す。わたしと彼がいた世界を。必ず。 『昨日は彼女も恋してた』 と上下巻構成。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yobata
61
『過去の改変』から戻ってきたわたしに待っていたのは、ニアの死,そして自由に歩ける足だった。ぼくに待っていたのは、マチの死であった。松平がいなくなった世界に飛んだわたしは、ニアの死という不幸と自分の足で歩けるという幸福の狭間で苦悩する…。ぼくは、松平に頼み、再び過去へ、海難事故に遭うというマチを助けに行く…。ニアの死,マチの死を結ぶ秘密は、この島の神様と言われたヤガミカズヒコ?そしてそれぞれの運命の日、ぼくは海難事故の日,わたしは中止されていなかった自転車レースの日を迎える。不仲になってしまったが「過去」→2012/07/16
エンリケ
49
間違って後編を先に読んでしまった。タイムパラドックスを主軸にした純愛小説。登場人物達の人間関係が今一つわからず読了。前編を読んでいればおそらく面白さも倍増しただろうに残念。四人の同級生が大切な人に訪れる不幸を防ぐ為、過去にタイムトラベルするのが粗筋。しかし一人の不幸を防ぐと別の人物に不幸が訪れるという、トレードオフの法則が切なかった。運命は変えられるが不幸は防げないというのがこの物語の主題か。語り口調は軽いが、テーマはかなりシリアス。大切な人を救う為に時間の障壁をも越える執念に、最後は少しゾッとした。2016/03/04
さばかん
48
これは上巻から読み直すと、いろいろとスッキリするのだろう。一度読んだだけでは、もう一回最初から読みたい、って思わされるだけであろう。物語の着地点としては、途中から予想はついていたけれども予想外というか、上手い具合に仕掛けられていて、なるほどなぁと思ったり、そういうことねって思ったり、まぁ納得のできる良いお話だったんではないでしょうかね。2012/01/06
黒瀬
46
気になる終わり方だった前巻を読んですぐ手に取った下巻。表紙の人物が…。これも絶対に映像化できない。映像化したらトリックが成り立たない、つまり叙述トリックに含まれるのか。過去改変から戻った「わたし」に待っていたのは彼の消失。そして歩けなかった「わたし」の足が元通りに。島の住人は誰も驚いていない。変わってしまった世界線で彼は九年前に死んでいた。では「わたし」はどうするか。決まっている。取り戻しに行くのだよ!2017/05/01
絹恵
44
帰るための現在地を指し示す地図は必要ありませんでした。僕は、必ず君のいる世界に向かうからです。針(玻璃)島の神様(ヤガミ)/全能者のパラドクスは"全能者は同じ瞬間に全能である必要はない"としたからこそ、永遠に交わらない君だけに優しい世界で、見守り続けることを選んだのだと思います。なぜなら、生きている君が、僕を生かし続けるから。だから物語は終わらない、全ては君を生かすために。タイムトラベル特有の考えを巡らせるのが本当に楽しくて切なかった。2015/05/31
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