内容説明
毎日山を歩いていると、いつの間にかその道に合った呼吸や体の動きをするようになっていた。技を磨くには、特別強くなったり、他人のまねをする必要はなく、ただ、一生懸命練習すればいい。同じことを繰り返すことで、技は磨かれていくんだよ。人生の予期せぬ出会いって、鮮明に印象に残るんだな。「何月何日に通るからみんな待ってましょう」と前もって計算されたものじゃなくて、偶然の出会いや出来事が、人生では大切なんだと思うよ。そういう偶然を活かすことを、思い切ってやってみることだよな。千日回峯行を二度満行し、その後も、日本、そして世界を巡礼するなど、歩くことにこだわり続けている酒井大阿闍梨。歩くことで学んだこと、見えてきたこととは何か? 「現代の生き仏」が語る人生の知恵。『人の心は歩く早さがちょうどいい』を改題し、新たに震災後のメッセージを加えて発刊。
目次
プロローグ 一日を一生だと思って生きれば、何があっても心は崩れない
第1章 人生の「本線」があると、生きるのがラクになる
第2章 人も物事もつながっている
第3章 行動することで、新しい世界が拓ける
第4章 回峯行のルーツを歩いて気づかされたこと
第5章 ゆっくり歩けば、幸せになれる生き方が見つかる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
瑪瑙(サードニックス)
51
千日回峯行を2回も成し遂げた大阿闍梨。いったいどんな方なのかなと思って読み始めたら、文体が口語体。語りかけるような感じで最初はちょっと戸惑いましたが、読み進むうちに慣れました。大阿闍梨なのに、気取った所がなくてとても面白い方でした。そして大切な事をそっと教えて頂きました。感謝。2017/11/28
よこたん
31
“ゆとりを持って歩くということは、ゆとりを持って生きることにつながると思うんだな。歩きながら人生の本線、目標を歩いていくんだからね。” 厳しい千日回峯行を二度も満行された、お坊さんの言葉は柔らかだ。随分前にドキュメンタリー番組で、行者装束でひたすら山を駆けるお姿を見たが、今でも心に残っている。歩き続けたからこそ、見えた気付けたことを、わかりやすい言葉で語りかけてくれる。日本、世界各地を、のこのこ歩き、とっとことっとこ歩く。過ぎたことをごちゃごちゃ考えずに、ただひたすら前に進んでいくお姿が目に浮かぶようだ。2016/10/24
柔
28
千日回峰行を2回行った大阿闍梨。宗教の枠に囚われず、受け入れる姿は、さすが。世界中を歩き回り、修羅場を乗り越えてきたからこその優しさ。達観している。普段から腹を決めて、一生懸命に生きれば何があっても慌てずにと構えられる。人間は1人では生きていけない。みんなのお陰でここまで乗れたのだ。良いことがあれば悪いこともある。最後には帳尻が合うから大丈夫。慌てない、ドーンと構えて物事に対応できるよういま若い時の苦労が欠かせないのかなーとも感じた。2020/06/08
ともとも
21
酒井さんの人生、行、旅を振り返りながらも 自分や周りの人たち、風景、自然を見て、感謝を忘れずに自分らしくゆっくり前を向いては生きていく。 だからこそ、人生、無駄・失敗があっても次につながる糧だからこそ無駄でも失敗でもない。という 境地に辿りつけるのかもしれないと感じながらも、 やはり、それも自分の行動と考え方次第なのかもしれないとしみじみ思ってしまいました。 自分の心をクリアにして温かく明るくしてくれる。そして生きる希望と勇気を与えてくれる。 そんな1冊で本当に良かったです。2015/04/13
大門寺豪徳
20
近所のおじいさんから大切でためになる話しを聴いている様な感じの本だった。グイグイ読める本ではなかったがもう少し歳をとったらもっと近くに感じられる本かもしれないな。派手さは無いが、何十年も磨かれて角のなくなった丸い石の様な触り心地のよいメッセージが伝わる。歳をとっても自分の足で色んな所に行きたいな。2014/12/09