内容説明
驚き、震えよ! 鮮やかな論理と、その論理から溢れ滲み出す怪異。小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの『怪談』に、柳広司が挑んだ! 「雪おんな」「ろくろ首」「むじな」「食人鬼」「鏡と鐘」「耳なし芳一」――。“謎”と“恐怖”が奇跡的に融合し、名著が現代に甦る! 柳広司だからこそ書き得た、異色のミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
110
「怪談」という題名なので怖いのかなぁと構えて読み始めたら、思った内容とは違ってばりばりのミステリーでした。小泉八雲の有名な怪談をベースにして、柳さん流にアレンジした現代物の推理小説の短編集だったのですね。これを京極さんが書いたら、もっとおどろおどろしいホラーが読めたのかしら?っとちょっと想像しながら読んでしまいました。柳さんの作品はほとんど読ませていただいていますが、これはかなりの力作です。個人的にかなり好きです。八雲の「怪談」を横に置いて読み比べると、よりいっそう楽しめそうです。2012/02/07
tama
104
図書館新刊本 友達が読んでたんで。面白かった。怪異だけで解決しようとしてないせいかなぁ。「むじな」「食人鬼」が気に入りました。怪異はワサビ。使い過ぎると料理が壊れる。このくらいでいい。その意味で「芳一」は使い過ぎかと。「ろくろ首」の刑事はなんとなくコロンボを感じました。2014/10/02
雑木林太郎
95
「ちょっとね~」って感じです。話の展開に必要な筋立てが曖昧で、読者に無理やり納得してもらっいる感がありました。読み終わっても、何でそういう結果になったのかわからない話がほとんどでした。強いてあげれば「鏡と鐘」だけは、話としてのまとまりがあったかなぁっ、て思います。2014/09/30
風眠
89
小泉八雲の『怪談』をモチーフに、現代を舞台に描かれた短篇集。「謎解き」という視点が加えられたことでホラー的な要素は消滅しているが、代わりに、人間の底知れない恐ろしさに「ヒヤッ」とする。小泉八雲へのオマージュということで、もう少し書き込みたいという作家の想いと闘いながら、様々な制約のなか一編一編まとめ上げたであろう柳氏の強靭さに拍手を贈りたい。底本となっている『怪談』は、恥ずかしながら未読なので、この機会にぜひ読んでみようと思う。2012/03/12
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
85
小泉八雲氏の「怪談」を下敷きに柳氏が独自の解釈で現代の物語として描いたものです。「雪おんな、ろくろ首、むじな、食人鬼、鏡と鐘、耳なし芳一」の全6話。悪くはないけれど、やはりオリジナルには負けるかなというのが正直な感想。ホラー要素よりもミステリー要素の方が強めの為、怖いというよりも腹黒いなぁという印象が残りました。「食人鬼」と「鏡と鐘」のオリジナルの話は知らなかったので、機会があればオリジナルの方も読んでみたいなと思いました。ろくろ首のラストにはゾッとしました。★★★2012/06/04