内容説明
名画に秘められた真実と事件の謎を解き明かす名推理! 作品の鑑定と修復のため、東京総合美術研究所に持ち込まれた古い絵画のなかに、ゴッホの死の謎を解く手がかりが見つかったという。しかし、そのことを<ゴッホです!>というメールで知らせてきた研究員・成瀬いずみが死体で発見される。状況から服毒自殺と思われたが、奇妙なことに彼女の片耳は茶色く染まっていて……絵画修復士の推理が光る驚嘆の美術&本格推理!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
RIN
29
絵画修復士・御倉瞬介シリーズ2作目。1作目の『時を巡る肖像』はピンと来なかったのだが、今作はどっぷり物語世界に浸りきった。修復を依頼された絵画を巡る謎、その過程で関わった人の事件の謎、事件に繋がる隠された過去、と、幾重にも重なる謎解きが丹念に描かれ、かつ御倉自身の日常も淡々としっとりと描かれる。メジャーな画家のメジャーな作品を扱っているので美術音痴でも大丈夫かと。柄刀一さんってこんな作風だったかな?と、しばらく離れていた間の作品も読みたくなった。それにしても御倉氏みたいな男性はモテるだろうな(笑)2015/04/28
roomy
29
初柄刀一作品。どの話もかなり面白かったのですが表題作と『ひまわり』の黄色い囁きが特に良かった。4年前オーヴェル村を歩きゴッホ兄弟の墓に行ったこともあり風景が浮かびゾクゾクしながら読みすすめた。絵画には詳しくなくても楽しく読める一冊でした。柴田よしきさんの解説で柄刀一さんが本格推理作家だと知りました。2013/03/30
瀧ながれ
20
シリーズ第2巻。短編集。いちばん長いゴッホとゴーギャンをテーマにした話が印象に残った。ただ、その結論に達した理由が、物語の中で描かれたフィクションの絵画であるところで、どのくらいの説得力だと見るべきか判断に迷う。この絵がなくても、かなり説得させられた気持ちはあるんだけど…。何ヶ月も生まれてこない赤ん坊の話も有名な既刊を思い出して(作中で触れられてもいる)、真相に「この作品ではそうきましたか!」みたいな感動があり、読書のいろんな楽しみという面で、興味深い読書でした。御倉ファミリー、魅力的です。2020/07/28
マサキ@灯れ松明の火
20
絵画や美術の知識は無いですが‥このシリーズは、読みやすいですね♪絵画修復士 御倉瞬介さんの名推理が光ります☆御倉家の家政夫「加護祥斎」さん、いい味出してます☆これからも「美しい謎」を楽しみにしています♪2012/03/27
tario
17
初柄刀作品だけど入門編なのか、番外編なのかな。絵画にもましてや芸術にすら縁遠くて、無知そのものだったけどゆっくりと読み進めていけば気疲れすることもなく、分かりやすい解説があって何より面白かった。解説にも成る程納得といった感じで、萌えちゃる要素はやっぱり家政夫だな。2013/09/28