内容説明
名物はフォアグラ、トリュフ、胡桃。人口約三千人、風光明媚なフランス南西部のサンドニで、長閑な村を揺るがす大事件が発生する。ふたつの戦争で国家のために戦い、戦功十字章を授与された英雄である老人が殺害されたのだ。彼は腹部を裂かれ、胸にナチスの鉤十字を刻まれていた。村でただひとりの警官にして警察署長のブルーノは、村人たちの助けを得て捜査をはじめる。就任以来初めての殺人事件を解決し平穏な村を取り戻すことはできるのか? 元英国ガーディアン紙のベテランジャーナリストが心優しき署長の奮闘を描く、清新な警察ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白玉あずき
40
読み通すには若干の忍耐が必要だが、読んだ後はそれ以上の重い読後感がある。じわじわと来る歴史の悲哀と弱い人間という物への哀れみだな。のどかで人間関係の濃いサンドニ村にも押し寄せるグローバル化の波と中央の政治。現代の社会問題の上に、第二次大戦以降のフランスがかかわってきた多くの戦争の歴史が重なる構図。料理の蘊蓄にも読みごたえが。田舎者から見た中央とEUに対する批判も面白ければ、上昇志向のエリートと地方の人間関係の中で安住する田舎者の対比も面白い。それにしても主人公と脇の女性陣、村長さんが出来すぎだ。2020/12/05
アカツキ
20
警察署長ブルーノ1作目。フランス南西部ののどかな村で戦功十字章を授与された英雄である老人が腹を裂かれ、胸にはナチスの鉤十字が刻まれて殺されていた。村でただ一人の警察官で署長ブルーノが就任以来初めての殺人事件に挑む…。ブルーノくんがちょっと完璧すぎて引っかかるけれど面白かった。料理にロマンスに村のトラブルにとコージー要素がたっぷりでミステリが推され気味だったけれど、終盤発覚した事件背景にあるフランスの歴史の重さに…。今後あの家族やあの人たちが登場する度に複雑な気持ちになりそう。2022/01/16
ごへいもち
18
面白くなくはないんだけど。ヨーロッパの歴史に疎いので基礎知識があればもっと楽しめたのかも。2020/09/09
bapaksejahtera
14
仏深奥部、洞窟群で有名な観光地帯の村の警察署長ブルーノシリーズを第一作に遡って読む。村にひっそりと住むアラブ人の老人はかつてフランス軍の英雄であった。彼がある日惨殺された上、胸に鉤十字を刻まれた姿で死ぬ。田舎警察署長を押しのけ、憲兵隊や国家警察が捜査。終には野心的な予審判事が登場して指揮に当たる。主人公の捜査で事件の裏に独の占領下ヴィシー政権による反対派への過酷な報復が浮上。小説にはアルジェリア独立を巡る仏国内の混乱も描かれる。英国人著者の描写の故か気が重くなる。この辺東アジアの単純な大戦観とは一味違う。2024/01/09
えむむ
13
料理が美味しそうすぎてお腹がすく、違う意味で危険なミステリー。あんなオムレツ作りたい。サン=ドニといっても、有名な観光地とは別の場所。フレンチカントリーの雰囲気とライフスタイルがよい。恋愛は「そっち行くんだ」と私的に意外な成り行きで、男性主人公(作者)さんならではのリアリティ。2024/06/16
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