創元推理文庫<br> 緋色の十字章 - 警察署長ブルーノ

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創元推理文庫
緋色の十字章 - 警察署長ブルーノ

  • ISBN:9784488273095
  • NDC分類:933

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内容説明

名物はフォアグラ、トリュフ、胡桃。人口約三千人、風光明媚なフランス南西部のサンドニで、長閑な村を揺るがす大事件が発生する。ふたつの戦争で国家のために戦い、戦功十字章を授与された英雄である老人が殺害されたのだ。彼は腹部を裂かれ、胸にナチスの鉤十字を刻まれていた。村でただひとりの警官にして警察署長のブルーノは、村人たちの助けを得て捜査をはじめる。就任以来初めての殺人事件を解決し平穏な村を取り戻すことはできるのか? 元英国ガーディアン紙のベテランジャーナリストが心優しき署長の奮闘を描く、清新な警察ミステリ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネコベス

22
フランス南西部の風光明媚な村サンドニで戦功十字章を授与された老人が腹を裂かれて殺害された。国家警察に捜査の主導権を握られながらも村の警察署長ブルーノは地元をよく知る利を生かして村を守るために奔走する。のんびりとした展開で謎解きよりもフランスの最奥地と呼ばれる村の穏やかな日常や食文化を絡めたのどかな生活描写が多い。第二次大戦やアルジェリアに関するフランスの忌まわしい過去が現代のテロにも関連する政治的混沌を生み出していて深刻さを感じた。主人公ブルーノの周りの人間が絵に描いたような善人ばかりでやや興ざめした。2018/09/25

アカツキ

19
警察署長ブルーノ1作目。フランス南西部ののどかな村で戦功十字章を授与された英雄である老人が腹を裂かれ、胸にはナチスの鉤十字が刻まれて殺されていた。村でただ一人の警察官で署長ブルーノが就任以来初めての殺人事件に挑む…。ブルーノくんがちょっと完璧すぎて引っかかるけれど面白かった。料理にロマンスに村のトラブルにとコージー要素がたっぷりでミステリが推され気味だったけれど、終盤発覚した事件背景にあるフランスの歴史の重さに…。今後あの家族やあの人たちが登場する度に複雑な気持ちになりそう。2022/01/16

ごへいもち

17
面白くなくはないんだけど。ヨーロッパの歴史に疎いので基礎知識があればもっと楽しめたのかも。2020/09/09

bapaksejahtera

13
仏深奥部、洞窟群で有名な観光地帯の村の警察署長ブルーノシリーズを第一作に遡って読む。村にひっそりと住むアラブ人の老人はかつてフランス軍の英雄であった。彼がある日惨殺された上、胸に鉤十字を刻まれた姿で死ぬ。田舎警察署長を押しのけ、憲兵隊や国家警察が捜査。終には野心的な予審判事が登場して指揮に当たる。主人公の捜査で事件の裏に独の占領下ヴィシー政権による反対派への過酷な報復が浮上。小説にはアルジェリア独立を巡る仏国内の混乱も描かれる。英国人著者の描写の故か気が重くなる。この辺東アジアの単純な大戦観とは一味違う。2024/01/09

星落秋風五丈原

10
事件を主に仕切るのは国家警察で、『踊る大捜査線』さながらにブルーノを格下扱いする輩もいるが、サンドニで最初で最後の銀行強盗事件をブルーノと共に捜査した国家警察刑事部長JJと、彼の部下で魅力的かつ腕も立つ女性イザベルが彼と協力して事に当たる。そうして浮かび上がった事実は他国民を受け入れ、かつ迫害してきたフランスの歴史と無縁ではなかった。事実を白日のもとに晒した『コリ―二事件』とは異なる道を選んだのは、もちろん村への愛もあるだろうが、ブルーノ自身が複雑な過去を抱えていることと無縁ではない。2013/08/22

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