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内容説明
太平洋戦争の実像は、日清・日露戦争に始まる「五十年戦争」の終局としてはじめて明らかになる――。真珠湾攻撃から戦艦大和の建造、史上最大のレイテ沖海戦まで、海戦史の第一人者が明かす日本現代史の深層。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てつのすけ
19
論理的な作戦立案がなされず、精神論による戦争指導が、日本を敗戦に導いたのではないかと考える。なぜ、優秀な集団が精神論を重要視したのかが、気になるところだ。2023/12/16
skunk_c
18
太平洋戦争の海戦を批判的に取り上げた書。まず真珠湾攻撃について、山本五十六はそもそも無理な計画を立案することによって、戦争を諦めさせようという意図があったのではないかとの指摘が斬新だった。同時に軍人としての山本の血が猛訓練と作戦の「成功」になったとも。その後について「絶対国防圏」を設定すべしという陸軍を無視した拡大路線が墓穴を掘り、アメリカの技術について行けず、「アウトレンジ」を支える砲術が未熟であったなど辛辣。そして特攻という「作戦の外道」に突入する。戦闘と戦争の区別が付いていないトップの軍隊は悲惨だ。2018/02/10
長谷川透
18
この手の本は、本当に嫌だなぁ。著者が悪いわけじゃない。調査は入念であるし、この分野の第一人者なのだから、事のあらましを具に洩れなく記している。個々の作戦は、勿論全てとは言わないが妥当なものも幾つかある。ところが、作戦の構想や決定を下す過程があまりに馬鹿げている。正直これでは上手くいった作戦も結果オーライとしか思えない。そして最もうんざりするのがアホみたいな作戦に駆り出された一兵卒たちだ。この作戦では然々の戦死者が出た、という下りを一体何回読まされただろうか。こういうのはジャブのように効いてくるんだな。2013/09/02
yo
4
この「失敗の本質」系列の太平洋戦争論には1つ気をつけなければならないことがある。それは、「じゃあ、その『失敗』をしなければ、どうなったのか?」という視点が欠けていること。それがなければ戦争に勝てていたのか?その作戦は成功したということなのか?そもそもどうなれば勝ちなのか?作戦の成功は何で判断するのか?そういう視点がないと、本来は何が失敗だったかとか、それは避け得たのかとかはわからないんではないか。2015/01/08
そらのひつじ
4
ミッドウェイ敗戦の原因となった慢心、レーダー等の新技術の見落とし、航空戦力の消失、情報の錯綜、そして末期の特攻の悲劇と、タイトル通り海戦を通して太平洋戦争敗北への道を追う事ができた。また酸素魚雷の考察が興味深い。酸素魚雷は速度も射程も突出した性能であったが、それゆえ命中率の低い長距離発射する戦術が常態化し、かえって戦果があがらなかったそうだ。長所さえも裏目に出てしまうのは、分析のいたらなさかによるものか。徹底的な敗北と多くの犠牲に暗澹たる想いになる。2014/08/21