内容説明
現代思想の研究家であり、武道家である著者が「女子大生」を仮想相手とし、成熟した生き方をするために必要な知恵を伝授。自立の意味とは? 人が仕事をする理由とは? なぜ官僚は無責任なのか? 希望を失った若者の行方は? ……あらゆる社会問題を自らの身体感覚と知に基づき、一刀両断。話題書『「おじさん」的思考』に続く、大人になるための必読参考テキスト第2弾! 解説・小田嶋隆(コラムニスト)
目次
第1章 街場の現代思想(パートナー・デバイドの光と影;「大人になる」とはどういうことか;ひとはなぜ仕事をするのか ほか)
第2章 説教値千金(社員をバカ化する企業の終焉;覚悟も責任感も欠落した日本の官僚たち;瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず ほか)
第3章 私事で恐縮ですが(私の専門―『寝ながら学べる構造主義』刊行によせて;ほっこり日々断章;ロングインタビュー―失われたおじさん像を求めて)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
25
著者の本の面白さは読んでそれらしいと納得できても、これといって意味もないが、また読みたくなってしまうというところにある。ちょっと屁理屈なところもある。オジサン的思考の流れを汲んで、おじさんの気持ちを代弁し、将来おじさんになる若者へのメッセージといった流れになっている。2020/03/28
蔦屋重三郎そっくりおじさん・寺
24
久しぶりに内田本を読んだ。話題が十年以上前のものであるが、内田樹の文章も今より多少軽薄な感じである。前半は女性を嫌いになりそうな論考があり、なかなか面白かった。『説教値千金』は説教の名の通り耳が痛い言葉も多い。最近内田本を読む気も起きなくなっていたが(旬を過ぎたか?)、やっぱりたまには読もうと思う。2013/06/15
Gatsby
23
『おじさん的思考』に続いて、私の内田樹発見の書である。相変わらず、文庫化されればまた買っている。書かれた文章は、今からもう10年ほど前になるのに、今読んでもまだ面白い。人間はどうして自分がつらい目に遭った時、他の人にはそんな経験をさせたくないと思わず、自分と同じように苦しめと思うのか? なるほど、そういうことだったか…と10年経った今また納得。会社の先輩が後輩に結婚しろ、家を買え、という理由は…覚えていた。10年経っても私の頭の中に残っている部分もあるのかと思うと、少しほっとした。2011/12/16
Lily603
19
★★★★+ これまた色々な相談や論件をざっくばらんに内田節で説いた1冊。良くも悪くも飛躍した断定や定義が目立ちますが、一理あったり深く本質を突いてそうな言葉が並んでいるので、ついページを捲ってしまいます。「何でこんなに読みたくなるのかなあ」と思ってると、最後に理由が書いてました。『最終的に書物の寿命を担保するのは文体ではないか。~いきなり話が変わるとき、話があらぬ彼方へ飛ぶときこそ書き手の知性は一番高く飛躍し、一番高速で回転している。グルーヴしている。それに読み手の知性が共振する』春樹さんとも通じますね。2012/10/31
文章で飯を食う
17
相変わらずの内田樹だが、相変わらず面白い。特に儲けものなのが、文庫本あとがきーーリーダビリティについて。ネタが古いことから、読む価値とは何かを書いたもの。それは文体である。つまり、思考の形式ー肉体の要素、息継ぎも含めてのー個性である。おもしろいね。ほとんど、小説の面白さじゃないか。なので、内田樹の著書が快刀乱麻の快感なのは、鬼平犯科帳の面白さに通ずるのだと思う。2015/11/03