文春文庫<br> 一朝の夢

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文春文庫
一朝の夢

  • 著者名:梶よう子
  • 価格 ¥641(本体¥583)
  • 文藝春秋(2016/05発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167824013
  • NDC分類:913.6

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内容説明

北町奉行所・同心の中根興三郎の生きがいは朝顔栽培、いつか黄色い朝顔を咲かせるのが夢だ。仕事は閑職、奉行所員の名簿作成係である。時は安政、井伊大老と水戸徳川家の確執や、尊王攘夷の機運が高まっているが、そんなことはこの“朝顔同心”には無縁、長身の身体を縮めるように暮らしている。だが江戸朝顔界の重鎮、鍋島直孝を通じて、宗観と呼ばれる壮年の武家と知り合ったことから、興三郎は思いも寄らぬ形で政情に巻き込まれてゆく。松本清張賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のぶ

81
梶よう子さんは最近よく読む作家さんだが、デビュー作が気になり、今回手に取ってみた。主人公は、北町奉行所同心の中根興三郎。性格はおとなしく、温厚で、朝顔の栽培を唯一の生きがいとしている。時代は幕末、江戸朝顔界の重鎮、鍋島直孝を通じ、宗観と呼ばれる壮年の武家と知り合ったことから、興三郎は思いも寄らぬ形で政情に係わっていく事になる。300ページ程の長くない作品だが、良く練られたプロットで、実に読ませる内容となっていた。幕末の混乱期の藩の間の対立。本格ミステリーの要素も盛り込まれ、充実した一冊だった。2020/01/05

takaya

34
初読みの作家さんでした。前半は、朝顔の品種改良が生きがいの主人公の時代小説風ですが、後半になると幕末の政情に視点が移る歴史小説風。朝顔の品種改良については、うやむやになってしまった感があり、私には終わり方は物足りなかったです。2020/07/23

エンリケ

33
窓際同心を主人公とするお話。この男、気は優しいが、気弱で冴えないアラサー。唯一の趣味は朝顔の栽培。およそヒーローには似つかわしくないキャラだが思いがけず幕末の要人の知古を得て、歴史の奔流に巻き込まれていく。そのきっかけが朝顔とは微笑ましいが、お話は予想に反して殺伐とした内容に。クセの強い登場人物達が、何故か彼に惹かれたのはそのピュアさ。渦巻く生臭い闘争の中に有って彼の存在は埒外の様。敵も味方も彼には心を開く。様々な苦難を経ても彼は一心に朝顔を育てる。その姿勢は愚直だが凛々しい。異形のヒーローに酔いしれた。2018/03/13

のびすけ

32
主人公の中根興三郎は北町奉行所の同心だが、閑職の姓名掛りを長く勤め、朝顔栽培を生き甲斐としている。飯屋の里恵と再会し、里恵との恋物語と朝顔栽培が本書のテーマかと思いきや、宗観や三好貫一郎との出会い、同じ姓名掛りの村上の存在により、興三郎は幕末の時代の大きなうねりに飲み込まれていく。梶よう子さんの初読みが「ことり屋おけい」だったので、ほのぼのとした内容をイメージしてたが、途中から想像もしてなかった血生臭い展開になっていく。史実にフィクションを絡め、ズッシリとくる読み応えでした。2020/02/24

タツ フカガワ

31
初読みの梶ようこ本は大当たりの感動本でした。井伊直弼が大老に就いた安政年間、北町奉行所の閑職に勤める中根興三郎は無口で口下手な独身三十五歳だが、趣味の朝顔の栽培になると突如能弁になる。そんな興三郎が、幕末の騒乱に巻き込まれていく。朝に咲き夕にはしぼむ朝顔は一期一会の花。同様に興三郎が出会った人たちと別れていくドラマが切ない。朝顔の奥深さも面白かった。2018/03/04

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