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内容説明
近年、「領土」をめぐる問題が諸外国との間で再燃し、国内での関心が高まるようになった。ロシアの実効支配が続く北方領土。同じく韓国の実効支配が続く竹島。一方、日本が領有しているものの、漁船や調査船が航行するなど、領有権を主張する中国による不穏な動きが続く尖閣諸島。これらの領土問題はなぜ発生し、現在もなおくすぶり続けるのか。現地ルポと歴史で辿る、その原因と真相。【光文社新書】
目次
第1章 国境の誕生(国境の誕生と領土のルール あいまいな日本の領土)<br/>第2章 戦後の復興と領土問題の発生(東西に分断されていたかもしれない日本 サンフランシスコ講和条約という爆弾)<br/>第3章 冷戦の道具にされた島々―北方領土編(日本政府と北方領土 日本とロシアの影響力 四島返還へのこだわりが生んだもの)<br/>第4章 日韓に打ちこまれた楔―竹島編(日本と韓国の温度差 密約とアメリカの影)<br/>第5章 隔離された島々―尖閣諸島編(自由に行けない政治的秘境 動き始めた「禁断の島々」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hatayan
31
2011年刊。きな臭さ漂う領土問題の現場にできる限り接近して隣国との歴史や背景の事情を解説。特に北方領土や竹島には実際に訪問して現地の空気を伝えています。 日本の領土は1945年の敗戦を機に縮小の一途であり、国境は容易に変わりうるものであること。竹島の帰属を曖昧にし、北方領土で現実的な二島返還論に待ったをかけたのは、東西冷戦のさなかに日本を西側諸国に留まらせたかったアメリカの深慮遠謀があったこと。 冷戦後も大国アメリカ・ロシアに翻弄される日本の姿が先鋭的な形で姿を現すのが国境であり、領土問題なのです。2019/04/23
糜竺(びじく)
20
日本の領土問題は、戦後あえてアメリカが、ロシアや中国と日本の間に楔を打つために、あえて残したかもしれないという考察は興味深い。2020/07/14
ラウリスタ~
16
北方領土;2島返還で手を打てる状況があったが、その時に日ソの接近を警戒したアメリカが「楔」として、領土問題をあえて残すために、不可能な「4島返還」を強硬に主張させた。竹島;朝鮮半島が共産主義の手に落ちる場合を想定し、あえて竹島の所属を明記せず、楔として残す。日韓政府は、竹島を韓国の実効支配下でそれ以上武装化させないという密約。尖閣:日本の実効支配下にありながらも、日中双方の政府が、自国民に島への接近を禁じる「隔離」された島。お互いに島を隔離するという密約(鄧小平の悪知恵)。アメリカによる楔としての領土問題2018/08/20
kotte
15
Kindle Unlimitedで読みました。主権国家として領土問題は譲歩できません。本書は現在においてもなお戦争の影響が残る日本の国境問題をわかりやすく解説してくれます。また、ロシア、韓国、中国との領土問題をナショナリズムの観点に立つことなく、事実をもとに客観的立場から解説しており、冷静に国境問題を考えるための材料を与えてくれる本でもあります。2017/04/04
カツ
7
北方四島・竹島・尖閣となぜに日本には国境問題があるのかと、そのなぜの疑問が解けた。やはり、裏には米国が絡んでいたのだな。したたか過ぎる米国の策略。それと、竹島問題で実行支配している国が実行支配してない国を強く訴える点が異常であると著者は指摘していたが、全くもってその通り。民度の低い国だと思う。2019/08/21