内容説明
島田叡。沖縄県知事。米軍の沖縄攻撃二カ月前に赴任。荒井退造。沖縄県警察部長として島田を迎える。二人は過酷な戦時体制下で、県民保護の困難な仕事に命がけで取り組んだ。共に沖縄戦が事実上終息した一九四五年六月、摩文仁の丘で消息を絶つ。沖縄戦後半世紀を越えて発掘された新事実を基に、二人の男の希有な生き方を丹念にたどった長編ノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はちこう
21
「鉄の暴風」の関連本として読ませていただきました。沖縄戦の際に県民の生命を守るために奮闘した島田叡県知事と、荒井退蔵警察部長を中心に書かれた沖縄戦記です。島田知事については「軍の協力者だった」、泉前知事こそ「反戦の立場を貫いた人物として評価すべき」という意見もあるそうですが、極限状態の中で人としてどう振る舞うべきか、ということを考えると島田知事は立派な人だったと思います。自分の夫のことより、沖縄県民の被害のほうを気にしていたという島田知事の奥さんも立派な方だと思いました。2026/02/28
あきあかね
21
沖縄返還50周年の今年、『島守の塔』という映画が上映されることを知った。太平洋戦争の末期、戦火が迫る沖縄に知事と警察部長として赴任し、沖縄の人びとのために命を懸けた二人の官僚を描いた作品だ。それをきっかけに、島田叡と荒井退造というこの二人の文官のおおらかで芯の通った人間性と、少しでも県民の犠牲を減らせるよう戦時行政にあたった苦闘を記した本書を何年かぶりに手に取った。 「だれかが、どうしても行かなならんとなれば、言われたおれが断るわけにはいかんやないか。おれが断ったらだれかが行かなならん。⇒2022/06/29
ナディ
17
島田叡、荒井退造という2人の命懸けの戦いに涙が止まらなかった。2人や、2人の下で働いた人々、沖縄県民の犠牲を思うと、本当に頭が下がる。民間人を犠牲にして、姑息に生き延びた軍人や逃げた前知事達の醜さを彼らの身内はどのように感じるのだろうか。2015/09/13
モリータ
15
島田叡県知事のことは兵庫高校(旧神戸二中)の友人から聞いたのだが、兄弟校である神戸高校(旧一中)出身の人間として、その人物像に非常な親しみを覚えた。文武両道、常に快活で暗い部分を見せず、素直な責任感に基づいて行動する。その友人や同級の何人かを思い起こさせたが、それは旧制中学(そしていわゆる地域伝統公立校)が育てうる一つの理想像と言えるだろう。個人的な関係を重ねると、私の弟は沖縄県庁に勤めており、今も構造的な抑圧を強いている側の本土出身の弟が、平時、そして来るべき非常時にどのような存在として振舞うのか、2017/08/10
おせきはん
10
沖縄戦の最中、良心を失わずに県民の保護という職務に邁進した島田叡知事、荒井退造警察部長の生き様には本当に頭が下がりました。両氏の人徳によるのでしょうが、両氏を命がけで支えた方々もすごいと思いました。私自身は、激戦地への転勤を打診されたときに、島田知事のように「おれは行くのは嫌やから、だれか行けとは言えん」と覚悟を決める自信はありません。2017/12/12




