内容説明
尊徳の実像は少年金次郎像=報徳思想にあらず!富国強兵、軍国主義に利用された二宮尊徳。しかし、実像の尊徳は、疲弊した農村を蘇生させた農政家だった。今こそ知りたい尊徳の真髄、自然秩序・心的秩序と資本主義下の農業問題に切り込む。
目次
第1部 尊徳から学ぶ農業の行方(少年金次郎像と昭和農村恐慌 学問の風景―万巻の書と「天地の経文」 天地の「徳」と人知―農地再生 武家奉公体験―報徳思想の原風景 桜町作法―“人間と大地との対話” 農地再生の為の思想―「天道」・「人道」そして「推譲」 経済門と道徳門―消費社会への警鐘 「報徳」思想の独り歩き―“仕法”を継ぐ人々 「行政式仕法」の難しさ―政治の壁 再び推譲について―尊徳と河上肇の『貧乏物語』 近代報徳思想と皇道主義(膨張主義)―貧国強兵の果て)
第2部 描かれた明治後期の小作農(「農」と、生きる「空間」 『白き瓶』の世界―藤原周平が描いた長塚節 『土』の世界と癒し)