内容説明
幻のエッセイ集『みどりの家の窓から』を全篇収録し、未収録エッセイとともに新編集した一冊。飾り気のない体当たりのエッセイからは、人々を魅了してやまない感性の源泉が見えてくる。
目次
ほごの帯
カカシ小学校
SOS信号
鴨
となりのウサギ
平塚画伯のこと
スーパーマーケット
友だち親
逆立ちする子供たち
おたまじゃくし〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
積読亭くま吉(●´(エ)`●)
97
★5例によって読み友さんのレビューに釣られ、でも図書館には目的の本が無くて、棚に有ったコレを借りる。著者のエキスが知れたら良いと…そう思った。本作はエッセイコレクション…他の作品から入れば良かったのかも。私の手のひらから無造作にこぼれていった日常たち。それは当たり前のことで、だからそんなに惜しむ事も無くて。もちろん粗末になどしては来なかった、来なかったつもりだけれど。私は何を成し得て今日まで生きて来たのだろう。何を成し得なかったのだろう…「さみしくてあたたかかりきこの世にて会ひ得しことを幸せと思ふ」2016/06/26
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
45
おいしい文藝シリーズの朝ごはんのアンソロジーで、卵かけご飯の話を読み、他にも読んでみたくなった。歌人だということも知らずに読んだエッセイ集。旦那さんのお仕事の都合で、家族で2年間暮らしたアメリカ生活のエッセイを中心に。巻末に収録された短歌も、選び抜かれた言葉で綴られたものらしく読んでいて心に染み入る。2017/06/03
ふゆ
15
短歌を読んで泣いたのは初めてで、それで河野裕子を知りましたが、その時彼女はもう鬼籍の人でした。有名な人なのも知らなかった。あの壮絶な最期を知ってエッセイを読むと涙が出る。若くて知らない土地で、支え続けたあの夫とかわいい子供と日常を送る。そのかけがえのなさを無邪気に享受している様子が胸をつきます。2018/09/09
ケン五
14
“ことば”を大切にする人から出る“ことば”は、なんでこんなに、心を打つのだろう。日常の他愛ない描写なのに、きらりきらりする感性が溢れる。歌がいいのは当然だけど、エッセイがまたいい。2011/09/26
Etsuko
11
「子がわれか われが子なのかわからぬまで 子を抱き湯に入り 子を抱き眠る」に惹かれて読み始めた本。アメリカで暮らしていた時のエッセイが大半を占めているが、文にユーモアがあり、暖かく、小さなキラキラを丁寧に掬い幸せが層になっていくようで、ゆっくりゆっくりと読めました。時々に入っている歌、最後の歌達が胸を打つ。「たったこれだけの家族であるよ 子を二人あひだにおきて山道のぼる」たったこれだけと言ってしまう誇りある日常。読んでよかったし、いつでもまた読めるようにしておきたい。2014/02/13