ちくま新書<br> ルポ 女性用風俗

個数:1
紙書籍版価格
¥924
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

ちくま新書
ルポ 女性用風俗

  • 著者名:菅野久美子【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2022/04発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480074737

ファイル: /

内容説明

女性の社会進出が進む中、男女ともに未婚率が上がり、性交未経験の割合も増加している。そして女性たちの性のありようも多様化している。「30歳になって処女は重かった」と語る女性会社員、DVに悩みセックスレスの既婚女性、SMに魅了される女性、ストリップに号泣する若い女性たち。利用する女性たちだけでなく、サービスを提供する店や人々への取材を通して、性に対する多種多様な欲望や風俗に通う動機を探り、女性たちが求めているもの、そして手にしたものは何だったのかを探る。

目次

まえがき 買う女たちの背景に何があるのか
第一章 処女と女性用風俗
(1)「やらみそ女子」の処女喪失──あゆみさん(三五歳)
「自己肯定感を上げたかったんです」
「女風」との出会い
ツイッターでワンナイトに挑戦
容姿でいじめられた
私は主人公にはなれない
甘えてもいいかもしれない
(2)初めての恋愛感情をセラピストに持つ──美里さん(三三歳)
男は女をジャッジする生き物
女風で、せつない恋愛感情を知る
「愛ってなんだろう」
第二章 妻として母としての人生では満たされない欲望
(1)四十路後半、子育て後に湧いてきた欲望──幸子さん(五三歳)
母としての人生が終わった日
「四十代の優しいお兄さんが行きますよ!」
「今日一日だけ僕の恋人でいてください」
口でのキスはしない……はずだった
疑似恋愛にハマる
かけがえのない仲間ができたということ
本当に心と体が落ち着くのは夫
(2)すべてが自分の自由になる時間がほしい──鈴美さん(五十代)
夫の凄まじいDVの末に
自分本位のセックスしかしない彼氏たち
女性の快楽に沿ったサービス
セラピストとの疑似恋人時間
理想の男はお金でしか手に入らない
(3)レンタル彼氏から「女風」へ──涼子さん(五十代)
「普通のオバサン」の性の冒険物語
「レンタル彼氏」を指名してみる
「完璧な彼氏」との別れ
「女風」との偶然の出会い
自分には性欲がなかったことに気づく
セラピストを応援したい
(4)カンフル剤としての女風──明日香さん(五三歳)
孤独で辛かった結婚生活
セラピストが教えてくれた未知の快楽
自分に正直になろう
第三章 女風を提供する人々の思い
(1)ある女風オーナーの思い──元専業主婦Oさんの挑戦
風俗とは無縁の平凡な生活
夫の孤独死から始まったお店
女性たちに届けたいのは、単なる男の肉体じゃない
丸裸の自分を受け止めてもらえるということ
(2)「グリーフケア」としての女風──癒し系トップセラピストCさん
コロナ禍でも売り上げを伸ばす女風「A」
女性の日常の中に一緒にいる感じ
(3)女性用風俗総合情報サイトが本当に伝えたいもの──姫豚さん(二五歳)
DV夫に気づかせてくれたのが女風だった
発散する場所はここだけじゃない
沼らないために、セラピストを使い分ける
(4)女風バーの誕生
セラピストにリアルに会える場を作りたい
女性たちの来店動機
日常生活から切り離した遊びが必要
第四章 セラピストたちの思い
(1)多種多様な女性の欲望を満たす──自分だけの「武器」を売りにするけんさん(四三歳)
イケメンでないけれど大人気
テクニックでなく愛が大切
(2)兼業セラピストのタカシさん(三〇歳)
一〇年前、〝男娼〟をやっていた
一〇年前と全く違った客層
女性たちは、タカシさんに何を求めているのか
セックスが嫌いではなくて挿入が嫌い
女性たちから学んだこと
(3)塾経営者がセラピストになったわけ──ミサキさん(三二歳)
 のない世界を見たい
信頼関係が不可欠のSMプレイ
人間やめたくないですか
「 のない世界」に身を置いている女性たち
女性たちには、いつかこの世界を「卒業」してもらいたい
あとがき 現代社会を生きる彼女たちへのラブレター
【巻末対談】
「同じ世界に入る」ことの享楽 宮台真司×菅野久美子
(1)「女風」が流行している背景
女が性に乗り出せなくなったワケ
「一つのアメーバになれない」私たち
(2)女性の「寂しさ」を受けとめるセラピストという存在
「まともな男がいない」問題
「ガチ恋に向かうためのステップ」としての女風
「寂しさ」をまずは受け入れて
(3)「社会」の時空と「性愛」の時空は排他的
「愛」にリアリティを感じるには
「結びつき」を求めない男たち
(4)性愛にとって大事なアクションとは何か
「女風の選び方」とは
「受動」と「能動」を超えて
目を見つめられるかどうか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Roko

33
巻末の対談で、宮台さんがおっしゃっている「性教育の不全」はとても大きな問題です。これに関しては「あの宗教団体」の差し金であったと、最近報道されています。それによって「知るべき知識」を知らないまま大人になってしまう人を増やしたというのは、とても酷いことだと思います。そして、菅野さんが言っていた”女風に女性たちが乗り出していった理由のかなりの部分を占めるのは、実社会に「まともな男がいない」こと”というのもねぇ。こんな日本に誰がした?という疑問は、益々大きくなっています。2022/09/19

akihiko810/アカウント移行中

25
女性用風俗・通称「女風」周りの人々のルポ。印象度A  宮台が巻末対談してる、というので読んだが、かなり面白かった。 たかが風俗行くのに、女性だと「物語(言い訳」が必要なんだなー、とも思うが、女風利用者は、性欲というよりもまず「寂しさ」が理由で利用するのだという。なので、結構「実存的」な動機がみえて面白かった。女風発達の裏側にあるのは、リアル男性の劣化が原因で、女が男に(幸せにしてくれるという)期待をもてなくなったからだという。パパ活ブームの根っこと同じだと宮台は言う2022/08/26

Nobu A

17
菅野久美子著書初読。22年刊行。職に貴賤はなく未知の世界を覗けるのは貴重な社会勉強。自ら足を運んで情報を提供してくれるルポライターには頭が下がる。流れるような筆致で読み易い。他方、美辞麗句的修飾語が多く取り繕っているような箇所複数。例えば「子育て中のシングルマザーが月一長時間デート」「夫が非業の死を遂げ女性用風俗店を立ち上げた女性」等、文面読む限りでは整合性が疑問。加えてSMは「嘘のない世界」「美しき獣たちが集う愛の園」って何なの?ルポルタージュは客観性が要。巻末の宮台真司との対談は感興を唆られる。2024/02/12

まゆまゆ

14
女性用風俗がネットの普及や低価格化によって流行の兆しを見せている。ホストクラブに通う風俗嬢やキャバクラ嬢ではない普通の女性が利用する背景を探るルポ。男性の性欲発散とは違い、女性は寂しさを埋めるための延長に性欲がある、といった感じかな。相手のことはセラピストと呼ぶらしく、利用者同士で繋がりができるところも男性とは違う(笑)宮台先生の性愛教育論も参考になる。2022/07/05

かんがく

12
単純に知らない世界についてのルポなので面白かったのと、背景にあるDVなどの夫婦関係の問題が興味深かったのは良いが、女性用風俗を良いものとして描きすぎている点はやや気になる。(ホストとの対比構造が単純化しすぎ?)後、宮台真司との巻末対談はフワフワしていて入ってこなかった。2023/01/13

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/19480962
  • ご注意事項

最近チェックした商品