内容説明
「男達の圧倒的多数がそんなに美男でもないし醜男でもない」という状況にありながら、男のカテゴリーには「美男」と「醜男」の二つしかない。しかし、果たして「男の美貌」というものに価値はあるのか。いまだかつて論じられたことのなかった「美男とは何か」を解き明かす、スリリングな美男論。
目次
第1学期 概論(美男のいた時代―あるいは、トニー・カーティスはいいやつだ;男というものは―あるいは、ウィリアム・ホールデンもいいやつだ;若いということ―あるいは、若さに関する残酷なジョーク;美男というもの―あるいは、美男はやっぱりバカかもしれない;美男の社会学―あるいは、すべての大学教授は美男だろうか)
第2学期 本論(美男の思想1―あるいは、美男は体質の職人である;美男の思想2―あるいは、「難しいことが嫌いな人はこの章を飛ばしなさい」;明快ブオトコ講座―あるいは、この本で唯一わかりやすいところ)
第3学期 一般教養(美女の論―あるいは、整形美女はどのように幸福か;美男のための美術史―あるいは、「男のように美しいオバサン」の存在しない昔)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TONY
1
★★★★★美男について考察した面白い本。橋本治の文章は緻密で論理的で説得力がある。ふわっとした感覚的なものを納得させる力がある。「自分の頭の中で物事を考えて、しかし、自分の頭の中だけで考えたことというのは、実社会とは関係のない自分の頭の中だけの観念的な事実である」これが生意気盛りの大学生の一番悲しいことであるという。まあそれでも不確かな所に一つ世界を築いていき、理由なき人生に一つ意味を落としていくしかないんだろうな。2011/07/17
2n2n
1
「ウチのオカンが、ある日を境に何故俺と目を合わせなくなったのか?」という疑問に対する答えが、この本に載っている。2011/06/10
Tr.St
0
一言では表せない「変な本」。なんでそんな感想しか言えないかというと、この本の論旨自体は「美男とは、あるがままの己を受け入れている男である」というそれに尽きるが、その周辺知識・考察の方が膨大かつややこしく、しかしそんな著者が好きにマシンガントークしてるだけの周辺部分の方にこそ読み手を唸らせる発想の転換が見え隠れするのだが、その周辺知識・考察の一体どこに関心するかはきっと読み手次第だろうということで、たぶんこの本がどう映るのかは人によって全然違うのだろうな…と思うので、「変な本」という言い方しか出来ないのだ。2014/10/10
笠井康平
0
「美男」とは何かを余すところなく語るには「美男」をめぐる美学や歴史や経済をまるごと語らねばならないため、自然、論旨は錯綜、文体は断定、題材は古今東西多岐に渡ってしまうのだが、その「手練手管」が一から十まで男前なので、なんだか騙された気分で読み進められてしまう。読み終えて思うのは「ひょっとして私、口説かれてたのかな」2011/08/26
asa
0
何事についてもそうなように、今回も筆者の美男の定義が一筋縄でいかなくて混乱する。ブオトコの方はまだ解り安かったが。また、男は若くなくても等身大で肖像が描かれるが、女は若くなくても若く描かれる、とか。美男よりジェンダーと日本文化の美の捉え方の方が楽しい。下巻読んだら、もうちょっと美男の定義(論議の対象)が分かるといいが。2011/07/10