内容説明
エコール・ド・パリ――第二次大戦前のパリで、悲劇的な生涯を送った画家たち。彼らの絵に心を奪われ続けた有名画商が、密室で殺された。死の謎を解く鍵は、被害者の遺した美術書の中に潜んでいる!? 芸術とミステリを融合させ知的興奮を呼び起こす、メフィスト賞受賞作家の芸術ミステリシリーズ第一作。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gonta19
62
2011/5/13 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。 2014/2/10〜2/16 芸術探偵シリーズ第一弾。エコール・ド・パリの作家達とその歴史的意義を述べながら、密室殺人の謎を解いていく。探偵役の神泉時瞬一郎のキャラも良く、読者への挑戦状もあるなど、古き良き時代の探偵小説の趣きもある。犯人は当たったけど、動機、方法は全然違った。シリーズ続編も楽しみである。2014/02/16
たんたん(休みます)
61
この小説はミステリ小説部分と作中人物が著したという設定の美術書部分からなっている。美術書に書かれているエコール・ド・パリの画家たちの成功(作品の評価)の裏にある実人生の悲劇に驚く。モディリアーニ、スーチン、パスキン、ユトリロ、佐伯祐三、フジタ、もう一度観たい彼らの絵を。って、これは推理小説でした。ミステリ部分は密室殺人ということもあり私にはちょっと。密室殺人はどうしてもパターン化しているというか…驚きが少ない。しかし、読者への挑戦状があり、きちんと美術書とも絡み合わせてありよくできた作品だと思う。2016/06/09
buchipanda3
37
面白かった。芸術探偵もの1作目長編。読後振り返ると、なるほど色々とよく練られていて秀逸な作品だったと感服した。密室事件と20世紀前半の芸術論という異種分野の要素を巧く絡ませて、それぞれの妙味は損なわずにむしろ面白さを一層引き立てていたのは見事だと思う。作中の芸術書の箇所は素人にも分かり易く、画家たちへの興味を大いに高めてくれる内容でとても良かった。ミステリとしてもある動機によって隠されていた意外な事件の構図、それまで仕込まれていた多くの伏線への気付きなど驚きを十分に堪能。終わり方も味わい深いものだった。2017/05/22
ヒロユキ
37
作中作の『呪われた芸術家たち』がその部分だけ取り出しても興味深い。芸術にあまり関わりなく生きてきた自分でも芸術蘊蓄が読みやすいのが嬉しかったかな。事件の謎自体もエコール・ド・パリや芸術探偵にふさわしく、これならシリーズの続きも楽しみ。2011/07/22
Kazuko Ohta
35
今週、西宮大谷記念美術館で開催中の藤田嗣治展に行き、読むなら今しかないでしょということで。画廊のオーナーが密室で刺殺される。450頁超のうち、要らんやろと思う部分多数。能書き薀蓄垂れて勿体つけすぎ。特に悪態つくのが仕事と公言してはばからない警部には怖気が走ります(^^;。画家の名前が出るたびに口走るボケはまったく笑えず、しばいたろかと思うほど。とはいえ、エコール・ド・パリについてわかりやすく書かれているのはありがたい。「日本人全体がエコール・ド・パリになるべき」、すなわち一人一派となるべきだと。一理あり。2018/02/23