復興の道なかばで - 阪神淡路大震災一年の記録

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復興の道なかばで - 阪神淡路大震災一年の記録

  • 著者名:中井久夫
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • みすず書房(2011/05発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784622076155
  • NDC分類:369.31

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内容説明

〈あの震災から150日が経った。今神戸はふしぎなほど静かである。神戸を埋めつくしていた救援の人たちはおおむね去った。活動を続けているボランティアは地元の人たちか、敢えて残留した少数である…会う人の多くは疲労をにじませている。震災以来働きつづけた人たちである。警察や消防や教員。一般行政の人もある。被災企業の人たちの再建の努力。渋滞の中で何度も夜を明かした運輸の人。求めに応じて無理を重ねた物資輸送に携わる人、報道の人もそうだ。自宅の修理に、店の、工場の再開のために夜間や休日を費やした人たちももちろんだ。休暇をとって欲も得もなく眠りたいという内心のささやきを感じている人が少なくなかろう。神戸全体がいっせいに休む休暇週間を提唱したいくらいだ。実際、われわれはよく働いたではないか。そういう自分をそっとほめてやりたいと思っても自然だろう〉(「震災後150日」)誰もが被災地に眼をそそいでいた大震災から一年。避難所で生活していた人たちは、ボランティアはどうなったのだろう。被災中心部のように光が当てられなかった辺縁地域は、重荷を背負っていないだろうか。被災民への補償は、今後の地震対策は、町の復興は? こころに傷を負った人たちへのアプローチは、進んでいるのだろうか。阪神淡路大震災から一年の記録を収めた『昨日のごとく』(1996年刊)より、中井久夫の文章9篇を中心に編集。歴史に学ぶ・「神戸」から考える――こころのケアを中心に、精神科医が関与観察した震災後一年間の記録。

目次

復興の道なかばで―一九九五年二月‐一九九六年一月(精神科医の見た二都市―一九九五年二・三月 被災地内部から―一九九五年五月 震災後一五〇日―一九九五年六月 災害下の精神科救急はいかに行われたか―一九九五年六月 半年がすぎて―一九九五年七月 阪神淡路大震災後八ヵ月目に入る―一九九五年九月 一九九五年一〇月・神戸 さいはての仮設住宅に―一九九五年一二月 一九九六年一月・神戸)
「こころのケアセンター」ロサンゼルス視察団に参加して

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みけのすずね

4
発災から4~5ヶ月目。情報は必ず時遅れであり、イマジネーションがなければ意味をなさない。精神の柔軟性と幅広い対処能力のある人が現地に来て、その時の問題に対処してもらうことがよい。被災救援者への援助は救援の本質的部分。疲弊しきった人は、自然回復した場合のみ戦力になる。潤沢な食料補給が士気の維持に不可欠であり、来援医団からの鍋援助で、体重減少をきたしていた現地職員も体重増加に転じた。2018/11/04

riviere(りびえーる)

4
震災後の一年間に、被災地ではどんなことが起こり、どんな援助が必要なのか?筆者は阪神淡路大震災の時に精神科医として援助にあたった人。その時の経験がつづられています。被災県に住んでいる私としてはとても納得でき、役に立つ情報が沢山ありました。とりわけ「一周年目には記念日現象といって直後の記憶がよみがえって辛くなる人もいるが、必ず一時である。一周年を過ぎるとふっと明るく楽になる人が多いだろう」の言葉には励まされ、「急に休むのはよくない、じわ~っと休まないと脳や血管の障害が出やすい」は肝に銘じたいと思いました。2011/10/15

Kei

2
神戸の時は1年である程度めどがついていた。しかし、今回はどうなるんだろうとすら思える。2011/07/11

dometaro

1
筆者が阪神淡路大震災の時に“精神科医”かつ“被災援助者”として現場を駆け回った一年間の記録。まず、資料として珍しい視点から書かれた本であった。専門家として特別なことをして居る印象は無く、精神科医という役割をもった“人”としての試行錯誤の記録という感じだった。自らも被害にあいながらも、人を援助する立場にある人達に眼差しが向けられて居るのも特徴的。全体を通して、様々な体験を受け止めるネットワークを作ることが1番大事になってくる、そんな気がした。2012/05/17

skashu

1
『災害がほんとうに襲った時』続編。世界のまなざし方に教養とセンスを感じる。2011/06/26

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