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内容説明
井上ひさしが生涯考え続けた、日本と日本語のこと。母語と脳の関係、カタカナ語の弊害、東北弁標準語説、やまとことばの強み、駄洒落の快感……溢れる知識が、縦横無尽に語られる。「日本語とは精神そのもの。一人一人の日本語を磨くことでしか、未来は開かれない」――母校・上智大学で行われた伝説の連続講義を完全再現。日本語を生きるこれからの私たちへ、“やさしく、ふかく、おもしろい”最後の言葉。
目次
第1講 日本語はいまどうなっているのか(母語は精神そのものです;FANCLをファンケルとなぜ読む ほか)
第2講 日本語はどうつくられたのか(「レモンティー」が正しい日本語;日本語はどこからきたのか ほか)
第3講 日本語はどのように話されるのか(最後はかならず母音でおわる;五つの音色の使い分け ほか)
第4講 日本語はどのように表現されるのか(日本人に文法はいらない;日本語の不確定さ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月讀命
94
日本人は、数を数えるときに 1.2.3・・・9.10と下から上へ増える時には、「いち、に、さん、し、・・・しち、はち、きゅう、じゅう」と漢語で数える。しかし、上から下へ、10、9、8、7・・・と減る時には、シチを『なな』と、シを『よん』と、やまとことばで数え、日本人は、日本人の本性を顕すという所が面白い。日本人は無意識のうちに、やまとことば、漢語、英米独仏西蘭の外来語の語彙を使い分けて使用しており、世界中で一番難関かつ習得しにくい言語を物語っている。言葉は生きており、日本人は日本語を大切にすべきだと思う。2012/12/24
mitei
91
すごく親しみやすい文章で読みやすくてよかった。日本語の特徴もなんとなくよくわかった。2013/01/20
みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます
40
著者が学生向けに日本語について語った講演をまとめたもの。柔らかい語り口と、数々の脱線のおかげで肩肘張らずに読み進めていける。半面、まとまりという点では弱く、かちっと体系だった講義という感じではないので、日本語を学ぼうと思って手に取ると期待外れになるかもしれない。しかし、そこはさすがに言葉のプロ。外国語との向き合い方や、声に出したときの印象についてなど、日本語を使って意思疎通を図ろうとする人にとってはいろんな示唆が散りばめられ、楽しく考えさせられる一冊だった。2011/06/13
Gatsby
28
井上氏が上智大学で行った講演をもとにした本。母語は精神そのもの。道具ではない。当たり前に思えることだが、井上氏はそのことに徹底的にこだわる。私は、英語の教師をしているが、英語も「道具」として教えたくない。英語も言葉だから精神そのものとして認識して教えている。井上氏は東北の出身なのでそのことを前面に出して、ユーモアを交えて語っているが、時々きつい毒が吐かれる。お亡くなりになったので、今は遺言として受け取るしかないが、日本語を絶対的なものとせず、それでいてその優れた面を興味深いエピソードを交えて語ってくれた。2011/04/03
しょうじ@創作「熾火」執筆中。
22
【15/06/06】日本(日本語、日本文化)のことは、日本人にしかわからないというのは危険で傲慢だということ。ある言語を大切にするということは、それが表現しようとしている精神を大切にするということなんだと思った。2015/06/06