内容説明
江戸末期、駿河(するが)の小藩。その岩場からは、美しくも怪しい紺碧(こんぺき)の渦が川面(かわも)に見えた。流れゆく時と川と人。男女は渦に巻き込まれるように人生を移ろわせ、時に後悔し、時に鬱屈を抱え、あるいは平凡でも底光りするような日常を過ごし、いつしか果てていく。それもあり、これもあり。しみじみと美しい7つの物語。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんぶん
10
大好きな諸田玲子の連作短編集。 駿河国庵原郡小島、甲州往還と並行して興津川が流れる鄙びた土地が舞台である。紙漉を藩の財政に頼る小藩である、そこに息づく武士、百姓の物語です。 川の「渦」を否応なく流される人生に例えて紡ぐ歴史長編小説です。いろいろな登場人物に託した思いが胸に迫る良い話です。 筆者が元々、清水次郎長の末裔という事も書く切っ掛けになったのかも…2014/08/27
朝陽
6
★★★人間関係がわかりづらかった。女たらしが良かったです。2024/06/09
エーコ2325
2
NHKのラジオ文芸で聞いて以来、原作を読んでみたいと思い、やっと見つけて読みました。幕末の人々の生活と悲喜交々を川の渦で表現した作品で心に染みます。2014/11/10
Bob
1
5年ぶりに再読。物語の舞台である小島には父の実家があり、酒瓶神社や陣屋が登場するたびに嬉しさがこみ上げた。作中でキーワードとなる「渦」についても、あの吊り橋の少し上流あたりだろうかと想像を巡らせながら読み進めた。 渡の物語も印象的で、前の話の主人公が後の話に端役として登場する構成が面白い。各物語が緩やかにつながっており、登場人物たちのその後をうっすらと感じ取れる点が魅力だ。 舞台は1810年頃から、1868年の小島藩の千葉への移封の時期まで。時代の中で紡がれる物語が、より一層臨場感を高めている。2026/06/14
山内正
1
渦 甲右衛門は五十になる 来春にはと先延ばす 川で老人が釣を その時子供の声が 流されてる着物を脱ぎ川に飛び込んだ その顔に見覚えが 後日用心に息子の縁談がと聞く 相手は天目 昔の上司だ あの川の人 仕事別れした同僚が川で死んだと 昨日直訴すると言ってたが? 小体な家に天目は娘と住んでた 紙漉きをしていた 今の藩の事情はと そこに娘が出て来た 顔を見て はっとした 死んだ若林の妻の顔に似ていた もう渦も岩場も頭から消えていたー 2019/09/27
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