内容説明
「子どもの本屋さん」からの依頼をきっかけに、『チョコレート工場の秘密』訳者が島根県の山奥・美郷町で学ぶ16名の前で教壇に立つ。テーマは芥川のアフォリズム「最大の奇蹟は言語である」。日本語がどれほどの天才か、奇想天外な熱弁をふるううち、生徒たちの瞳は輝き、見事な達成がもたらされる。人が育つことの原点はここにある。
目次
1 「子どもの本屋さん」に誘われて
2 みんな日本語という世界の住人―第一回特別授業
3 六年一組十六名からの手紙
4 邑智小学校は開校七年目
5 最大の奇蹟は言語である―第二回特別授業
6 子供たちの創作
7 空想授業:邑智中学校一年生に向けて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
初美マリン
92
素晴らしい!小学生相手の特別授業なのに学ぶことがいっぱい。まず翻訳することの深さ、韻をふむなど考えればわかる大変さ。目からウロコの言葉の連続でした。2024/12/08
コットン
81
副題の通り小学6年生にむけた特別授業。柳瀬尚紀さんは翻訳者として有名ではあるけれど、この授業内容もそれに負けない日本語や漢字の特別感やお得意の言葉遊びも出て、大人向けの授業としても十二分に通用する面白さでした。2025/05/25
こばまり
49
日本語の面白さ云々よりも、子どもたち、そして著者を始め関わった大人たちのピュアネスに心を打たれた。出会い、好奇心、利他。全てが尊く、おとぎ話の学び舎に思える。本イベントの第三者視点のドキュメンタリーが読んでみたい。2022/07/08
へくとぱすかる
30
柳瀬さんといえば、難解で知られるジョイスの翻訳で知られている。「フィネガンズ・ウェイク」の翻訳を読もうと思ったものの、ユニークかつシャレに満ちていて、私にはとても歯がたたない濃い内容だった。そんなすごい翻訳家が小学校の授業をするのだから、さぞ破天荒なものになるだろうと想像してしまったが、きわめて理解しやすくて、そしておもしろい。特別授業だからこそできる、日本語のおもしろさの伝達に成功したと言えるだろう。授業をうけた6年生たちが、きっと将来、日本語の未来をになってくれるだろうと空想して読み終わった。2014/12/20
kochanosuke
20
いい本。ロアルド・ダールの翻訳者である著者が行った特別授業。羨ましい。こんな記憶に残りそうな授業を受けられた子ども達も、こういう子ども達に対して授業を行えた著者も、両方が。2013/09/15