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内容説明
「目からウロコ」「衝撃的」「出色」と各界から絶賛の嵐!2011年度サントリー学芸賞受賞!(芸術・文学部門)。2011年度国際ポピュラー音楽学会賞(非英語部門)受賞、2011年新書大賞10位。明治・大正期の自由民権運動の中で現れ、昭和初期に衰退した「演歌」。これが60年代後半に別な文脈で復興し、「真正な日本の文化」とみなされるようになった過程と意味を、膨大な資料と具体例をもとに解き明かす。【光文社新書】
目次
はじめに―美空ひばりは「演歌」歌手なのか?<br/>第1部 レコード歌謡の歴史と明治・大正期の「演歌」(近代日本大衆音楽史を三つに分ける 明治・大正期の「演歌」 ほか)<br/>第2部 「演歌」には、様々な要素が流れ込んでいる(「演歌」イコール「日本調」ではない 昭和三〇年代の「流し」と「艶歌」 ほか)<br/>第3部 「演歌」の誕生(対抗文化としてのレコード歌謡 五木寛之による「艶歌」の観念化 ほか)<br/>第4部 「演歌」から「昭和歌謡」へ(一九七〇年代以降の「演歌」 「演歌」から「昭和歌謡」へ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
1959のコールマン
69
☆5。挑発的なタイトルなわりには、真っ当に書かれた労作と言える。内容は演歌の本、というより日本の大衆音楽(歌謡曲)の歴史が証拠と共に詳しく書かれている。いわば「歌謡曲正史」。こうやって読むと、演歌どころか歌謡曲さえまともに研究されてないことが良くわかった。あの小泉文夫さんまで歌謡曲について妙ちきりんな事言っている。それぞれ(右や左の旦那様)の立場の人が自分勝手に色々発言しているなか、信頼できる資料が少ない中で良くこれだけ書けたものだ。これをたたき台にして、いつの日か「日本大衆音楽全史」をまとめてほしい。2020/12/27
HANA
56
演歌というと日本の心を切々と歌い上げる。そんなイメージがあるけど、そういったイメージはごく最近になってマーケティングの上で作り上げられていったという事実を明らかにした一冊。前半は主に演歌の歴史が取り上げられており、演歌に暗い身としてはこちらは面白さはいまいち感じられず。ただ後半の社会の流れと関連付けられてからは俄然面白くなる。左翼の「俗悪文化」批判とそれに対抗しての土俗的なものの復権とかは現在と共通する部分があるし、五木寛之の小説「艶歌」がイメージ形成に極めて重大な影響を与えたというのも面白いものです。2026/05/03
へくとぱすかる
41
明治・大正どころか、戦前にさえ遡れない「演歌」。1960年代から、時間的に遡行・適用して、そのカテゴリーを成立させている「新しい」ジャンルなのであった。大昔から存在したように錯覚してしまうのは、イメージというものが、いかに宣伝・風潮に乗せられやすいかを物語っている。こうあって欲しい、という願望が、いつのまにか既成事実にすりかわっていく過程を見るようで、ちょっと恐ろしさも感じた。2015/09/13
venturingbeyond
36
手にしたのは2021年の4刷で、初版は2010年10月。サントリー学芸賞や国際ポピュラー音楽学会賞の受賞も納得の傑作。伝統の後世における創造を扱った言説史で、終章にある通り『いつ、いかにして、いかなる意味で、誰にとって「演歌」が「伝統的」「日本的」とみなされるようになったのか』(P348)を明らかにする試みが手際よく、切れ味鋭く展開される。著者が各所で記している通り、本書の論点から派生する積み残された課題への広がりが読者にも伝わる「戦後大衆音楽史」のカテゴリーに収まりきらない射程の広い一冊。2023/12/13
クラムボン
25
昭和の一時期「演歌」の黄金時代があった。女王美空ひばり、大御所北島三郎、都はるみ、森進一、青江三奈、五木ひろし、八代亜紀等々。「演歌は日本の心」だと言う。演歌派では無い私も特に異論は無かった。しかし著者の輪島さんは「演歌」は昭和40年代に意思を持って生まれたと唱える。当時の左翼的な若い知識人らが「暗さ、貧しさ、土着、情念」的な《低俗とされていた歌謡》を、逆に近代化から取り残された価値ある物と見なした。戦後歌謡の歴史を丹念に辿って語るだけに説得力がある。それは任侠映画、劇画、アングラ演劇と同じ文脈だと言う。2021/09/26




