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内容説明
天才科学者フランケンシュタインは生命の秘密を探り当て、ついに人造人間を生み出すことに成功する。しかし誕生した生物は、その醜悪な姿のためフランケンシュタインに見捨てられる。やがて知性と感情を獲得した「怪物」は、人間の理解と愛を求めて懇願する。「おれは妻が欲しい。友も欲しい……」だが拒絶と疎外の果てに悲劇は起こる。若き女性作家が書いた最も哀切な“怪奇小説”
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
161
ハンパなマッドサイエンティストにより生み出された人外から見た「人間とは?」について超客観的により描写された稀有な作品だったのではないかと思いました。2025/07/26
ケイ
156
作者のシェリーが19歳の時、作家の夫とその友人の詩人のバイロンと旅行中に、テーマを決めて小説を書こうとした約束。それを彼女だけが守って、1年後にこれを書き上げた。それができた作者がまず怪物ではないか。フランケンシュタインという作品を通じて、20才の女性は何かを強く訴えようとしたのだろうか。それとも単になにかスゴイものを書こうとおもっただけなのだろうか。人とは?生きるとは?また命を産み出す側の責任とは? 作品が問いかけるものは大きい。フランケンシュタインが創り出したものが終始かわいそうでならなかった。2016/10/04
夜間飛行
156
科学の責任を問う先駆的な作品だが、親と子の悲しい物語でもある。人を殺す前からすでに罪の烙印を押され追放されていた怪物の心を、生みの親たるフランケンシュタインが理解しなければなるまい。それが親の義務だと思う。彼は怪物が伴侶を求めた時初めて、愛してはないにせよ向き合おうとしている。21世紀にはすでにアトムもゴジラも原発あるから、我々はこのような科学的な責任と親の責任の重なり合いにそれほど驚かない。けれども、当時の人々は創造主の責任の一端を人間が担うという話に、ただの恐怖小説以上の衝撃を受けたのではなかろうか。2014/03/14
buchipanda3
126
かの有名な怪奇小説は19世紀初頭に描かれたのだそうだ。結構な昔の作品だが、読んでみると中身は今でも色々と考えを巡らせてしまうほど興味深いものだった。それはホラーというよりも人間が生み出した悲劇という感じ。最も印象に残ったのは怪物が人々の目から逃れ隠れている時の出来事を語る場面。映画などのイメージと違い、その怪物は自分の複雑な心境を言葉で見事に表現する。誰にも理解されない孤立と恐怖、そして葛藤。そのあまりにも人間的な姿に一体どちらが怪物なのかと。本当に怪物を生み出したのは何か。ふたりの行く末は何とも切ない。2022/07/23
優希
115
シュールでした。フランケンシュタインというと、怪物の名前を連想しますが、造った側だったというのをはじめて知りました。生命の秘密を見つけ出し、人造人間を生み出したフランケンシュタイン。人ならざる「怪物」が知性を感情を持ったことで見た人間の世界は醜いものに見えます。人間とはいかに卑劣で愚かなものなのか。理解と愛を求めた「怪物」の運命は拒絶と疎外しかなかったのが哀愁を漂わせていました。それ故に抱いた憎悪。フランケンシュタインの残酷な仕打ちは、「怪物」と人間の関係をそのままうつしだしているように思います。2016/05/10
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