内容説明
破天荒のジャーナリストが書き残した資料を読み解き、日本外交の原点に迫る!
19世紀末、動乱の北京に23年間を過ごしたモリソン。前半はロンドン・タイムズ特派員として反露親日の国際世論を喚起して日露戦争における日本の勝利に大きく貢献したが、後半は中華民国大統領袁世凱の政治顧問として反日の急先鋒に立ち、嵐の中をかろうじて進む新中国の舵取りに携わった破天荒のジャーナリストが書き残した資料を読み解き、日本外交の原点に迫る! 辛亥革命の知られざる実相と諸列強の暗闘を描いた労作。
【モリソンの紹介】 G・E・モリソン
George Ernest.Morrison(1862-1920)
動乱の北京で23年間、前半はロンドンタイムズ特派員として反露親日の国際世論を喚起して日本の勝利に大きく貢献し、後半は中華民国大総統の政治顧問として反日の急先鋒に立ち、嵐の中をかろうじて進む新中国の舵取りをしたオーストラリア人。
日本の東洋学研究の発展に貢献した「東洋文庫」の礎となった二万数千冊に及ぶ「モリソン文庫」でも知られている。
目次
第1章 日露戦争後の世界
第2章 鉄道問題
第3章 辛亥革命の勃発
第4章 袁世凱とモリソン
第5章 モリソンの個人外交
第6章 モリソン活動の成果
第7章 辛亥革命後の中国
第8章 第一次世界大戦をめぐって
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
4
ロンドン・タイムズ特派員のG.E.モリソンと袁世凱を中心に、辛亥革命勃発前後の清国内における列強各国の思惑や駆け引きが書かれています。日本は共和制国家の出現を恐れ清朝保護の態度を示しながらも動乱に乗じて利権獲得・増大を目論み清朝と革命軍の両方に武器を供給する。一方モリソンと英国は袁世凱を支援し、共和制国家の樹立を実現させる。本書を通して、この時代の日本の外交の未熟さがどうしても目立ってしまいます。2015/06/30
ななっち
1
親日派から反日派へ転向したタイムズの記者のお話。オーストラリアの権益というのは日本に相対峙するものがあるというのも興味深いものです。2014/04/01
鈴木誠二
0
日露戦争後~第一次大戦終了まで、モリソンの日記や書簡で垣間見る。イギリス、中国、日本の近代史。本書の最後に、徐々に孤立化を深めるワシントン体制下の日本の描写が、現代の日本のイメージにダブってくるのは杞憂であろうか……2014/02/11