朝日新書 高杉晋作の「革命日記」

著者名：一坂太郎【著】

朝日新聞出版（2012/09発売）

• ISBN：9784022733566

内容説明

幕末の長州藩で百姓・町人なども動員して奇兵隊を作り、幕府軍をみごと打ち破る高杉晋作は、六篇の日記を残している。そこには――江戸への航海記、東国での武者修行の旅、小姓役として若殿様に仕える日々、そして幕府貿易視察団に加わり上海に滞在して目にした欧米列強の力、のちに藩命に反したとして牢に繋がれた波乱と革新の生涯が描かれている。それを現代語でよみがえらせた。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[優希]

高杉晋作の書いた日記をまとめたものになります。航海術を学びに江戸へ遊学した頃から野山獄に投獄されるまでの波乱の日々がつづられていました。覚書程度のものも多くありましたが、忠義と革命の想いが同居しているのが面白かったです。奇兵隊を率いた風雲児という印象の強い高杉さんですが、この日記を読むと意外とお茶目な一面もあったりして可愛らしく、親しみを感じました。高杉さんの簡単な生涯や日記に補足があったりするのは丁寧ですね。高杉ファンにも嬉しいだけでなく、彼をよく知らない人にも楽しめる日記だと思います。

2016/12/21

[広陵高校何で出たんやと思う26歳キャビンアテンダント・寺]

高杉晋作の身長は153cmだったそうだ。爆笑問題の田中が154cmである。昔の日本人は皆小さかったと言うが、高杉は短躯を恥じて写真は必ず座って撮った。153は当時でも小柄過ぎたのだ。そんな小さな身体を燃やして僅か27年８ヶ月の短い生涯を送った高杉の６つの日記の現代語訳。上海渡航の日記や獄中日記はいかにも志士のそれだが、萩での何気ない日常の日記が興味深い。書き始めて途中でやめたりしているのも若者らしくて良い（笑）。高杉という人は志士というよりも、毛利家の忠義な武将と言った方が相応しい人だと思う。

2015/03/12

[えちぜんや よーた]

「遊清五録」のところが特におもしろいです。「外国人」として留学先の上海の様子や晋作自身の考えがセットで述べられているからです。・外国の水が合わず、日本人水夫が次々と死んでいくさま・太平天国の乱で英仏の兵力を借りたため、孔子廟が外国兵の宿舎になっている・イギリス軍が所有していた「元込め式」のアームストロング砲※1のスケッチ※1 先日NHK大河ドラマ・「八重の桜」の第1回目で会津藩が軍事演習を行うシーンがあった。このとき使われていた大砲は「先込め式」弾を筒先から装填し棒で固定する。火縄銃と同じ）だったと思う。

2013/01/09

[chantal(シャンタール)]

長州藩で奇兵隊を作った人、くらいの知識しかなかった高杉晋作。この日記は一生懸命仕事したり、愚痴を言ったり、自己嫌悪に陥ったり、普通の青年である晋作の姿を見せてくれる。新しい職場で新人研修もあれば、書類の書き方の雛形を研究したり、今も昔も、人の営みは綿々と続いて来たんだなあ。彼が上海へ視察に行った事も始めて知ったのだが、私が今見てるこの景色を150年前に晋作が見ていたのかと思うと、なんとも言えない壮大な歴史に心が踊った。この本を教えてくれた読友さんがおっしゃる通り、生身の晋作を知る事が出来る貴重な作品。

2017/12/10

[り こ む ん]

革命日記と題された本だったので、幕末の激流の中に書かれ、戦うｲﾒｰｼﾞをしていたけど、６篇からなる日記は、本当に日々の事柄を普通に書いたんだなって感じだった。幕末の風雲児のｲﾒｰｼﾞがある高杉晋作だけれど、一人の若者のｵﾁｬﾒな部分や、読書の感想などが書いてあったり、殿様にたいしての忠誠心の強さ、藩官僚としての姿がみてとれ、幕末に暴れた様には、見えない。ただ、激動の時代には変わりない。日記中にもところどころに、その時のキナ臭さのようなモノを感じられる。現代口語訳されていて読みやすく、高杉晋作の訪れた道を辿

2013/06/07