角川文庫<br> ヴィヨンの妻

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角川文庫
ヴィヨンの妻

  • 著者名:太宰治【区分表記なし】
  • 価格 ¥550(本体¥500)
  • KADOKAWA(2014/10発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041099117

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内容説明

傷つきやすい心をごまかすように、金もないのに飲んだくれる詩人の動静を、妻が奇妙な明るさで語る表題作をはじめ、未完の絶筆「グッド・バイ」のほか「パンドラの匣」「眉山」「トカトントン」の5篇を収録。

※本書は一九九八年に刊行された角川文庫『グッド・バイ』を改題したものが底本です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Shoji

78
終戦直後の荒んだ世の中、這いつくばって生活していた時代である。物語を通して感じられる、酒と女と雑踏の臭い、しかもそれはすえた臭いだ。二つのことが印象に残った。一つは、動物的本能のような女のしたたかさ。もう一つは、「人間は死によって完成させられる」という文章である。生きるのに精いっぱいだった時代に、太宰は生を書きたかったのか死を書きたかったのか、まだ私の中でモヤモヤしている。2017/11/01

美羽と花雲のハナシ

44
太宰の晩年の短編集。太宰の描く女性は強くて非常に魅力的である。「ヴィヨンの妻」は一番好きな太宰作品。さっちゃんの献身的な愛とダメ男大谷の対比が素晴らしい。「パンドラの匣」は従来の暗くて重い太宰とは別人のような作風。結核診療所で過ごす日々が面白おかしく描かれている。物語全体を覆すラストも必見。個性豊かな登場人物による会話が楽しくて、何回も噴き出した。これは「グッド・バイ」も非常に類似しており、軽快な文体と楽しい会話と続きが気になる展開。そう、その展開が気になる、気になる。田島とキヌ子はその後どうなったの!?2012/10/21

東京湾

30
「死と隣合わせに生活している人には、生死の問題よりも、一輪の花の微笑が身に沁みる」太宰治最晩年の傑作五篇。晩年の太宰治といえば「人間失格」の印象が強いが、破滅の美とは対極の、戦後に射す新時代の兆しに手を翳して生きる人間が、「パンドラの匣」をはじめ描かれている。病に臥せりながらも、療養所の暮らしと時代の展望を溌剌と語る青年の姿は、読んでいて胸がすく爽快さがあった。「トカトントン」は最後の返信がうまく落としている。「ヴィヨンの妻」は相変わらずの巧みな女性描写。「眉山」は哀愁が漂う。「グッド・バイ」は愉快だ。2019/08/30

30
前から気になっていた1冊。「ヴィヨンの妻」以外は初読み。やっぱりどの作品も死が近い。死を中心に進んでいるのが太宰治の人生を表しているよう。「パンドラの匣」はある意味、学校のような場所での学校のような生活。人間は死によって完成するというけれど、恋をしたり運動をしたり、そんなことでも希望が生まれてくる。死による未完はこんなにも切ないんだなあ。年譜がさらに拍車をかける。小川洋子さんの解説は、太宰治自身を深く知る手がかりになった。2014/03/21

ω

25
おや、持っている本のタイトルはグッド・バイですが何や? グッド・バイは未完であり評価が難しい。今のところ(?)ワクワク感がありますが、続きは伊坂先生にお任せで良かったかもしれませんね( ^ω^) 一番好きなのは「眉山」。太宰は女性を書くのがとても巧みだと思います。話し方、仕草。眉山も竹さんも、側にいたら好きになりそうだ。2018/09/22

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