内容説明
透明な光が世界中を包み、等しく生きていることの不思議を思う。パパ、ママ、そしてパパ2。三人の親の魂をやどす娘・片岡ノニと、哀しみに沈む〈猫の女王様の家来〉キノ。引き寄せあう運命の絆が、滅びゆく大地を癒しで満たす。美しい島々を舞台に、受けつがれる生命の奇跡を謳う最新長篇小説。よしもとワールドの集大成!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しろいるか
47
雫石、楓、片岡の数奇な人生を送る3人の風景が好きだったので、いきなり視点が変わって戸惑った。ノニの「生きていく、つなげていく。苦しくても自分の考えと磨かれた直感となるべく健康な体を持って」という台詞に感銘。これが人間の原点だと思う。そしてラスト片岡(毒舌だけど正直で一番好きである)がノニに語る場面が一番心に沁みた。本人には絶対言わないであろう雫石への気持ちとか、セクシャルマイノリティとしての生きにくさとか。ぶれない、自然のままの生き方が、雫石たちからノニへそして先の世代へと受け継がれていくのだろう。2011/03/23
ひめありす@灯れ松明の火
26
よしもとばななの描くスピリチュアルでさびしい世界。自分で人とのつながりを意識しているからこそ、彼女たちは孤独でも気高い。雫石、楓、片岡。三人が自分の色をぶつけ合ってぐちゃぐちゃ絡まって、王様のように楓を大切にして、だからこそ生まれた『ノニ』という小さく新しい、別の王国の主。子供だけど所有物でなく、そこにいる隣人として付き合っていく彼女の三人の両親。唐突だったり、もういなかったり、自由だったりするけれど、そんな新しい風に包まれた、彼女の王国もまた、優しくさびしく、孤独な、美しい国でありますように。2011/09/09
れいぽ
25
雫石、楓、片岡が ママ、パパ、パパ2となって 雫石の娘片岡ノニの言葉で綴られていく「その4」。起承転結の「結」とも「番外編」とも受け取れる話しです。何だか雫石が違うキャラになっているような(汗 海と青空と植物にゆるやかに抱かれたノニ。悩んだり迷ったりするけどノニも大きなものに守られている。キノとすんなり出会えてよかったよね。自分の人生を丁寧に大切に生きていきたい、と思いました^^2010/08/31
tokotoko
24
大好きなばななさんなのに、なかなか進まなかった。登場人物と前作3冊との関係に気づくまでは・・・・。気づいたら進みだしたが、またしても重い空気に挫折しそうになりながら読み続けた。最後が近づくにつれてわかってきた。ばななさんが言いたかったこと。あとがきにも似たことが書いてあったので、ばななさんに「ちゃんと伝わったよ!」と言いたい気分です。“自分が生きて動いているうちは、まわりだってみんな生きて動いている”。一生懸命探して見つけた言葉なので、忘れないでいたいです。2013/07/07
ちゃちゃ
19
よしもとばななさんの言葉の選び方は,キラキラしていて好きだなあ。特に王国のシリーズがお気に入り。前3作を読んでから随分時間が経ってしまっていたのが残念でしたので,1からまた再読したいと思います。それにしても,しっかり前を向いて生きていかなければいけないよなあ…。それに,みんな何かに護られているということを忘れてはいけないよね。最近,心が大分荒むようなことが多いのですが,随分とパワーを頂いたように思います。表紙の絵もまた素敵。2012/02/26