内容説明
数千年後の未来の地球では、わずかに残った人類が、仕事も学問もせず、衣食住の保証された享楽的な生活を送っていた。そんな中、何世紀もの時を生きてきた〈さまよえるユダヤ人〉サヴィと出会ったハーマンは、定められた寿命の百歳を目前にして世界の成り立ちを解き明かすべく旅に出た……。一方、イリアム平原の戦局は、転換点を迎えていた。大神ゼウスの雷撃に対し、アキレウスら英雄たちは……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤原
11
再読。大ボリュームだが一気読み出来る面白さ。英雄と神々の入り乱れるイリアスの世界観にポストアポカリプス的ディストピアと古典文学マニアの木星産生体アンドロイド紀行をぶち込んだ訳の分からないごった煮。こんなとんでもない話をしっかり着地させて次に繋げる作者の力量に脱帽する。キャラ立ってるよ。暴虐の化身ながら優雅な超英雄アキレウス。SFとの親和性抜群なIQ高めのオデュッセウス。かわいいマーンムート。そして終盤 未知の展開に胸を躍らせる語り部ホッケンベリーと読者の心理はシンクロする。これがエンタメってやつか。2021/12/28
たこのまくら
6
途中少しダレるところがあったものの、流石に後半は怒濤の展開で読ませてくれた。しかしとりあえず話は終わったけれども続編ありきの終わり方で、ほとんどの謎は謎のまま。てか、あそこって火星じゃなかったのね。勘違いしてた。続編で超越存在たちが本気を出してくるのだろうが、とりあえずは皆彼らの掌の上で踊らされていた、とそんな理解でいいのかな?2012/10/29
けいちゃっぷ
5
まさに圧倒的な筆力で1300ページ超を飽きさせずに読ませます。 ただ惜しむらくは、ギリシャ神話の神々は私の脳内では吾妻ひでおの『オリンポスのポロン』に変換されてますので、いささかマンガチックなイメージになってしまったのは否めません。 そして、様々な謎や期待を秘めて『オリュンポス』へ。 685ページ 2012/05/13
しい太
4
ハイペリオン四部作を「こまけえことはよくわからんが面白い!」の勢いで読み切ったのが18年位前、人生の宿題としてやはりこっちも読んでおきたい。トロイア戦争に超技術を備えた神々が干渉するパート、文学的ロボット達による破壊工作パート、どこか野暮ったい未来技術に囲まれて生きる新人類パートが交錯し始めるあたりがめちゃくちゃわくわくする。……が、これだけ凄いボリュームの超展開を読み終えたのに物語としては風呂敷が広がりきったところで「オリュンポスに続く」なんだよな~。薄々わかってはいたけどとんでもねえ。2025/04/24
prosecco
4
イリアム後半、やはり本作も想定通り終わりの始まり。ギリシャ神話の神々の世界は紀元前の地球の物語であったのが、21世紀を超えた遥か未来で繰り広げられるその再現に、同じ未来の衰退した人類と木星で育まれた人工知性体がそれぞれ未来の地球と火星で交錯するという、時空を超えたスケールで展開する妙に人間臭い将来をかけた争奪戦を彩るガジェットにストーリィテラリングは、ハイペから慣れ親しんだシモンズさんのそれで、当然のように別作へ続くようで、まぁそれも想定外の想定内で、おとなしく従えばよいのでしょう、再見。2017/05/30