内容説明
吉行文学の抑えた描写に垣間見える詩情――学生時代、萩原朔太郎に影響を受けての詩作が、その文学的出発となった作家の、生涯変わらぬ本質の現れであった。若き日に書いた詩の数々、苦悩の中で文学を志した戦中戦後の回想、昭和初期文壇で異彩を放った父エイスケの詩篇、恩師が翻訳した「ダダの歴史」をあわせて収録。吉行淳之介の全体像把握に必須のユニークな詩文集。
目次
詩篇(挽歌 月光 盛夏 ほか)
詩の周辺(詩との出会いおよびその後 詩より詩的なもの 「帝国」のなくなった時期 ほか)
吉行エイスケ詩篇(退屈 恋 色気 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うかれ
1
吉行淳之介のことも、その父エイスケのこともこれを読むまで名前も知らなかったのですが、彼らの詩にはとても魅かれるものがあり、エッセイも興味深かったです。エイスケの逸話を読むと、夭折ながら人の2倍も生きた人というのがまさにその通りだなと。淳之介の詩なら「薄明」と「雪」、エイスケなら「青い舌」と「丸窓から酒をのむ」がお気に入り。2016/01/07
桜井夕也
0
「隔離病棟にて」という詩が強く印象に残った。2012/07/07
若い脳
0
ダダの魅力とその衰退についての意見が面白い。詩とか詩的な文章を定義するのは難しいが、自分のそれと作者のは微妙に噛み合わないような気がした。2011/05/31
がんもどき
0
旧版で。作家になるような人は、一度は詩を目指すものなのだろうか?ダダイズムはよくわからない。既存の価値の破壊なら、機械語を読むとか?2020/03/04