内容説明
「おいしい紅茶を、飲みに行きませんか?」常連客の純也からかけられた奇妙なデートの誘い。紅茶専門店に勤める夏陽にとって、それが運命の動き始めた瞬間だった。記憶障害の患者を相手に、病院で作業療法に従事する純也。その優しさと誠実さに惹かれ、夏陽は徐々に心を開いてゆく。だが、初めて2人で出かけた軽井沢の旅行で、純也がまさしく記憶障害に冒されていることが判明した……。ベストセラー純恋3部作完結篇!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タルシル📖ヨムノスキー
26
紅茶専門店に勤める夏陽に常連客の純也がかけた言葉は、「美味しい紅茶を飲みに行きませんか?」だった。こんなベタな始まりの物語は純也がMCIを発症することで切なく胸が締め付けられる物語へと展開していく。交通事故や病気で最愛の人が亡くなる物語はとても悲しいが、その場にいるのに記憶だけを無くしていく物語はもっと悲しい。荻原浩さんの〝明日の記憶〟に近い感じ。違うのはあっちが熟年夫婦でこっちがピュアなカップル。それとあっちが若年性アルツハイマー病で、こっちがMCI(経度認知障害)。病名は軽度でも起きていることは重度。2020/08/17
青葉麒麟
16
相変わらず《白・新堂》はベタベタな王道ど真ん中だと思う。何時もそれでも楽しく読めたのに、今回の主人公・夏陽のキャラが何か暑苦しくて嫌だったなぁ( ´△`)結構周囲を振り回してると思う、特に親友の子を。紅茶が飲みたくなった(^_^)2012/11/27
紫乃束✓
14
図書館で目に入り、読み始めた。 1頁目を読んで、その時点でもう好きに為った。 初めて新堂さんの作品を読んだけど、だめ。 言葉1つ1つが優しくて、表現の仕方に素直に惚れました。 「おいしい紅茶を、飲みに行きませんか?」 この言葉が切なくて、愛おしい。 登場人物が全員好き。物語の後はどうなったんでしょう。 いつか夏陽の様に心の底から 「あなたに逢えて良かった」 と言える恋をしてみたい。素敵な物語が読めて幸せです。 この本に出会えてよかった。2016/06/10
野の花
13
白新堂と黒新堂があるようですが、私はこのベタなラブストーリーが好きです。一途に夏陽だけを思ってた。忘れても夏陽だけを思ってるってキュンときます。毎日初めましてでずーっと幸せになって欲しい。2019/04/24
ヨシ
11
純恋3部作完結。作業療法士として認知症患者と接している純也。穏やかな純也に惹かれる紅茶専門店で働く天真爛漫な夏陽。二人は恋に落ち、結婚を約束した。幸福の絶頂にいたはずの二人のもとに立ちこめる暗雲。それは純也のアルツハイマー病。まだ24歳という若さで…あらすじはありきたりだし、ある意味ベタ。ラストも見えている。それでもページをめくる手が止まらない何かがこの本にはある。それが作者さんの力量なのであろう。愛する人が自分を忘れていくことに、私は耐えられだろうか?自分が忘れていくことを受け止められるだろうか?2023/06/04