内容説明
坂本龍馬と同じ土佐藩の一介の郷士(下級武士)にすぎず、また父の酒癖がわるく極貧という家に生まれた岩崎弥太郎。そんな弥太郎が、どうやって江戸から明治への動乱期に“政商”としてのし上がり、たった一代で三菱財閥の基礎を築いたのか。司馬遼太郎「竜馬がゆく」と同時期(昭和37年)に新聞連載され、大いに話題を呼んだ傑作歴史経済小説。物語は、安芸平野が山肌に吸い込まれようとする地、井ノ口村に始まる──。激動の時代を鮮やかなエピソードで描く群像劇!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
32
三菱財閥の創業者、土佐のいごっそ・岩崎弥太郎を主人公に明治維新の群像を描く。土佐藩の藩営事業に絡みながら様々な疑惑を紡ぐ弥太郎。下巻は如何に三菱が創られたかの展開に期待。幼馴染の色男・三橋節弥を呼び水にしながらの維新の英傑の華やかな女性遍歴も読みどころ。2020/12/13
まつうら
24
三菱を創業した岩崎弥太郎の生涯を綴った作品だが、タイトルに群像とあるように、弥太郎と同時代に活躍した人たちがたくさんでてくる。渋沢栄一、安田善次郎、大倉喜八郎、藤田伝三郎、松本重太郎、三野村利左エ門・・・。別の作品で読んだことのある人物とエピソードが登場するので、読み進めるのは楽しかった。 弥太郎が三菱商会を立ち上げるのは40歳で、それまではあまり登場してこない。物語の前半は、弥太郎よりも五代才助のほうがかっこいい。洋行帰りで胆力のある五代は、だれからも頼られる知恵者だ。(下巻へ続く)2021/10/24
Akihiro Nishio
20
坂本龍馬の海援隊を引き継ぎ、三菱商事を起こしたと言われる岩崎弥太郎の物語である。言われるほど、海援隊の事業は引き継いでいない。土佐藩直営の土佐商会を引き継ぎはしているが。竜馬がゆくでは吉田東洋殺しの下手人が坂本龍馬と誤解され、岩崎らが復讐に行くことになっているが、こちらでは真の下手人を追う。意外にもその他のエピソードは大体一致。岩崎にとって運が良かったのは、親が作った借金のため、土佐の商家丸十で長らく仕事をしたこと。謎の登場人物は節弥という女好きの色男。大した役割を果たしそうもないのに、やたら物語に絡む。2017/04/22
誰かのプリン
19
時代背景も詳しく描かれかつ主人公のみならず、色々な人物が登場して面白く読了。それにしても色男の三橋節弥は良い味だしています。2019/07/15
シン
15
岩崎弥太郎が坂本龍馬と同時代の土佐の人だと知らない人は多いんじゃないないでしょうか?やはり龍馬が目立ってしまうのは仕方ないと思います。下巻は完全に龍馬も暗殺され、出る幕はないはずです。どんな展開になるのでしょうか?2016/01/27