内容説明
海外の病院で盲腸炎を手術したらいくらかかるか? アメリカなら2泊3日で約200万円、ヨーロッパなら同じく約100万円。日本だと1週間の入院で約30万円、自己負担3割なら10万円弱だ。これは日本の医療費が「公定価格」で、国の医療予算を節約するために世界の常識から外れた不当に安い値段で現場に高度医療を強要しているせいだ。その結果、何が起こったか。日本の大病院のスタッフはアメリカの10分の1、相次ぐ病院の倒産・閉鎖、医療事故の多発、医師の自殺、看護師の「燃え尽き」症候群、産婦人科医・小児科医の激減、妊婦のたらい回し、等々。日本はすでに国際的に見て「医療三流国」なのだ。本書は、先進国として恥かしい、たった9兆円の予算しか負担しない政府の不勉強・不見識を、医療現場の怒りを代表して告発した問題作。著者は創立125年の伝統を誇る日本初の眼科専門病院の院長であり、日本屈指の「神の手」をもつ眼科専門医。
目次
第1章 日本の医療費は安すぎる
第2章 医療費三四兆円は国際的に高すぎるのか
第3章 医者と看護師の涙ぐましい献身
第4章 若者が産婦人科医、小児科医になりたがらない理由
第5章 医師不足は産婦人科、小児科ばかりではない
第6章 現場で見る日本の医療の現状
第7章 国民の権利意識の向上
第8章 国民が求めるほんとうの医療
第9章 住民の健康を重視する自治体、しない自治体
第10章 一流の条件と三流になった日本の医療