内容説明
役所の受付で書類の不備を指摘され突然怒鳴り始める。コンビニで立ち読みを注意されて逆ギレし、チェーンソーで脅しをかける――。わずかなことで極端な怒りを爆発させる老人たちの姿から、その背後にある社会や生活意識の激変を探り、人間関係の問題を指摘して、「暴走老人」の新語を世に定着させた話題の書。
目次
序章 なぜ「新」老人は暴走するのか
第1章 「時間」(暴走する老人たち 待つことをめぐる考察 変容する時間感覚 ネットワーク)
第2章 「空間」(凶器の選択 独居する空間 膨張するテリトリー感覚)
第3章 「感情」(透明なルール 丁寧化する社会 警笛としての新老人)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GAKU
38
高齢者社会で老人の数も増えているわけだから、以前よりは暴走する老人も比例して増えるでしょう。 特出して増えているのかどうか、根拠が今一。コメントも薄くてなんだか期待はずれでした。読まなきゃ良かった。昔から老人だからといって、誰しも成熟した大人とは限らないでしょう。2016/01/18
Holger
8
この本は、中身以上に「出版されたこと」に意義がある。現実に起こっているが、あくまで例外的な出来事として処理し、誰もが問題提起しなかった老人の暴走について、センセーショナルなタイトルのもと明らかにしたのだから。サンプルとして取り上げられたデータが新聞記事や身近に起こった出来事のみに限定されているのは社会学者でなく小説家なのだから目をつぶろう。それでも、65歳以上の老齢人口が20年前と比較し、二倍に増えた一方で、老齢犯罪者数が五倍に増えたという数字は目を見張るものがある。2013/07/29
北の親父
7
活躍した時代は違っても、みんな確実に老人になる。別に世の中や世代の違うものに無理やり迎合することはない。2015/05/30
saku_taka
5
んー。着眼はよかったが、議論は粗い。2009/12/17
清水勇
4
10年以上前に出版され「暴走老人」を社会に認知させた本。暴走老人の実態の紹介本だと思ったが、社会の成立ちの根本的変化と老人の暴走の密接な関連を具体例で説明。著者は社会の大変化と何故老人が変化に対応できないかを「時間」「空間」「感情」の観点から分析。著者は50年前と比較し「待つ」→「待たされる」心の変化、コミュニケーションからの身体性(肉声、表情、身振り、体臭、体感)の喪失、社会の丁寧化等、社会の変化の大きさを説明。改めて驚き、膝突き合わせた対話の重要性を痛感。昔はスマホはないので待つことは平気だったなあ。2020/10/17