内容説明
奇妙奇天烈な地下の館、迷路館。招かれた4人の作家たちは莫大な“賞金”をかけて、この館を舞台にした推理小説の競作を始めるが、それは恐るべき連続殺人劇の開幕でもあった! 周到な企みと徹底的な遊び心でミステリファンを驚喜させたシリーズ第3作、待望の新装改訂版。初期「新本格」を象徴する傑作!(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
980
作中言及の"過剰なもの"を感じさせる本格ミステリでありつつ、氏独特の"軽さ"が同居した名作。この時期のバランス感覚は本当に素晴らしい。改めて読むと非常に良く練られており、数時間の間に何人も殺されるスピ―ディーな展開に目を奪われて、考える間も惜しんで先に読み進めたくなるように出来ている。それ故にラストの仕掛けが破壊力を増す。あとがきを読んで感じるが、時計館辺りまでの氏の作品には、アウトサイダーとしての"狙い"やメッセージ性が強く宿っているのか。新本格が飽和し、大家となった今には出せない挑戦者精神に溢れている2016/09/09
青乃108号
506
自分なりの拘りから、「あとがき」は読まずに書く。それを読む事によって素の自分の感想か変わってしまう事が嫌だから。と言ってもこの作品には「あとがき」が何と3つ存在する。うち2つの「あとがき」は作品の重要な構成要素のひとつであるから読まざるを得なかった。「十角館」があの1文のインパクト故にあまりに有名になってしまった後の、館シリーズ第3作の本作。見方によっては意外とシンプルだった「十角館」に比べ、何とも複雑な技巧を凝らした多重構造を持った本作は、俺には「十角館」を上回る出来の作品だと思える。傑作だと思う。2024/04/25
ミステリにゃん
450
こうなってくるとは一番に読んだ十角館がそんなに面白くなかったのでは?と思い違いまでしてしまう位に読めば読むほど館シリーズは面白い。 すごい作家さんだとしみじみ思う。 なんだ?どうなるのか?と思いつつ読み進め気がつけば終わってしまい、ああもう読んでしまったと切なくなる。
nobby
406
作中作という手法を使ってのトリックは分かったんだけど犯人は無理だろう…エピローグでのバラシには衝撃があった。それにしても、小説ならでは文字を使っての遊びが素晴らしい!綾辻作品読む度に、クイーンとかクリスティとか改めて読もうかなぁと感じる。後は、親指シフト分かる世代だった(笑)2012/11/22
勇波
348
鹿谷門実先生初登場。。トリック、舞台設定は相変わらず前二作の館シリーズに匹敵する面白さです。二重、三重と騙されましたよ。でも個人的には水車館のような割り切れない雰囲気も欲しかった★2014/08/10