内容説明
齋藤磯雄、中井英夫から始まって、吉行淳之介、そして多大な影響を受けた三島由紀夫のほか、野坂昭如、大江健三郎など、現代作家に至る日本作家十七人についてのエッセイをすべて収録した〈下巻〉。とくに三島由紀夫論は二〇作にのぼり、まとめて読むことができる初めての機会。既刊『澁澤龍彦書評集成』と合わせて、日本文芸批評および現代批評を網羅する文庫オリジナル集成。
目次
齋藤磯雄―思想の良導体 齋藤磯雄氏の翻訳について
齋藤磯雄―お目にかかっていればよかったの記(齋藤磯雄追悼)
鷲巣繁男―形而上学のカテドラルのために…
鷲巣繁男―鷲巣繁男追悼
吉岡実―吉岡実の断章
吉岡実―天ぷら
中井英夫―ロマネスクの香気
中井英夫―中井英夫『幻想博物館』解説
中井英夫―中井さんのこと
吉行淳之介―『砂の上の植物群』に描かれた性について 吉行淳之介論〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
28
三島の死をめぐる考察が痛ましい。相変わらず(と書くともちろん失礼なのだけれど)、著者の遊歩人/フラヌールめいたフットワークの軽さは見事で、時代と寝た批評家という印象を感じさせる。時代に合わせて寝た批評家であり、時代を捻じ曲げた批評家というわけではない、と。そこが澁澤の最大の魅力であり同時に最大の弱点でもあると思ったのだけれど、この作家論だけでそう断じてしまうのはもちろん早計に過ぎるというもの。実作を読んでみたくなった。野坂昭如や大江健三郎をいち早くチェックしている眼力に驚かされた。座談はやや長ったらしい?2019/07/30
マコ
0
日文出身者としてはきになるところ!しかし、誰に貸したか行方不明…