内容説明
「僕はひときわ君を信頼している。うまくやってくれ」メガバンクの頭取の言葉に行員天野の胸は熱くなった。かつてのトップが愛人に行った七億円もの不正融資。「信頼」に応えるべく、天野はその隠蔽に奔走する。やがて介入する闇社会、起こる血の惨劇。家庭さえ崩壊させながら悪戦苦闘した天野が得た、残酷な報いとは? サラリーマンの絶望と再生。みずほ元幹部だからこそ描けた迫真の「銀行」告発小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユザキ部長
79
偶然にしろ、必然にしろ、そんな事はどうでもいい。一度回り始めた歯車は誰にも止められない。今度はお前の番だ。叩きだされた指令。組織からの裏切りに抵抗する手段は裏切りしかない。それが俺の正義だ。すべては時代遅れなんだよ。と。2018/10/29
luther0801
9
▼難しい案件は先送りするか、見て見ぬ振りをする。そうして時間を稼いでいるうちに莫迦な奴が手を出してくる。解決できれば、御の字。出来なければそれまでだ。それが組織社会を生き抜くコツだ。▼会社は、あなたを必ず裏切る。その時、あなたは後悔しない人生の選択ができますか。2015/02/28
富原
6
茨城出張を利用して読破。ていうかサラリーマンなら必ず読むべき最高に面白い内容。結局サラリーマンは巨大なうねりやしがらみからは誰もが逃れられないよねって話です。 作者のあとがきで「会社は必ずあなたを裏切る」と書かれていた、それが銀行マンから作家に転身した理由というのも、作者の核を見た気がした。名作!!2016/03/20
niko
5
この著者や主人公が経験したことには遠く及ばないレベルなのですが、最近会社の裏切りと感じることがあり、悲しい、虚しい、スッキリの過程を経て、少し自分を見つめ直している時期だったので、なんだかちょっとだけ親近感を覚えました。主人公の最後の行動も、少し似てるのかもしれません。会社や上司のために働くのではなく、信念は持ちつつも自分のために働くべきだと思いますが、私は最後の半年から一年ぐらいは「これは自分のためなのだ」と自分に言い聞かせて働いていたので、そこに注意しても何の解決にもならないかもしれません。2017/07/12
日本じゃあ二番目だ
5
一昔前の政治家・銀行屋さんのお話。こんな時代もあったよね、という感じです。でも、その時代に生きていたらやっぱり流されるんだろうな。ラストはもう少し溜飲を下げたかったですが。2014/07/27