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内容説明
【複数色を使用したコンテンツです。モノクロ端末では一部読みづらい場合がございます。 】一般の人々にとって「ミカンが黄色い」のと同じように、E音は青緑色に、F音は紅色に、著者には感覚される。単音だけでなく、和音や音楽全体にも、色や形を感覚している。「ある音楽の中では、私の前方三メートル付近で発生した青緑色の球形が、角が丸くなった黄土色の直方体になって私の右肩後ろ方向に進み、やがて背中を回って左手に現れ、そのときには群青色のカーテン状の揺らめきになっている、などということがある」(本文より)比喩や連想ではない。五感が混じりあった、未分化の世界。このような感覚世界を「共感覚」と呼ぶ。本書では、当事者の視点から、共感覚とはどういうものなのかを解説する。さらに、古語や和歌の考察などを通して、日本文化の原風景が共感覚的であったことを明らかにする。本来、人間の基本的な感覚であったはずの共感覚とともに、現代人は何を失ってしまったのか。
目次
第1章 共感覚とは何か(共感覚とは何か 共感覚ではない感覚 私の感覚世界の模式図 ほか)<br/>第2章 日本文化の原風景としての共感覚(私の前言語的記憶 文字の創作 日本語への確信 ほか)<br/>第3章 共感覚者男性として(共感覚の共時的考察 共感覚者に女性が多い理由 共感覚は障害ではない ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yuko
6
「文字の形状に色が見える」「音や色に景色が見える」など、五感の混じりあった「共感覚」を保持する著者が、共感覚とは何かを当事者の視点から解説。さらに、日本文化の原風景が共感覚的であったことも明らかにする。 視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感の領域が混ざり合う。こんな世界が広がったら素敵だろうなと思うが、当事者は相当大変な思いを抱えて生きていることだろう。太古人類が持っていた共感覚が、近代で急速に失われた。「にほい」や「聞く」「色」の個所は特に興味深く、豊かな日本の美感覚、美意識の世界へといざなう。 2015/09/28
sun
6
共感覚の人が書いた本。文字と色の対応図は面白い。しかし本論は全く意味なし。2015/09/06
mimizu
6
人とは違ったものが感じられる共感覚。そんな人がどのように世界を認識をしているのかを知ろうとしても知ることはできない。しかしそれは別に共感覚を持っていない人も同じで、一人ひとりが違った感覚質を持っている。その中で共感覚者は特別なものかもしれないが、それでも人が他の人の感覚を得るというのは到底不可能な話なのだろう。2011/02/28
nnm
4
共感覚は言葉や理論で表すことが難しく、実際に自分の感覚として理解できる人が少ないことを差し引いても、著者の主観だけに偏って書かれていることが多い気がしました。著者の共感覚の能力が思い込みでないことを証明するために、客観的な条件付きの共感覚による判断の結果(女性の生理周期が分かる、というのであれば、対象を会ったことのない女性に限り、第3者の立ち会いのもと記録するなど)が必要であると感じました。そうでないと、ほとんどの人はこの共感覚を嘘か誇張だと考えてしまうと思います。2013/04/01
うき。
4
共感覚の有無は、私にはただの「個体差」にしか過ぎないので、著者の否定を装った選民思想というか差別意識というか上から目線に辟易した。それを我慢すれば、内容的には知りたかった個体差(の一例)の内容が解りやすく具体的に書かれていてまあまあ楽しめる。2009/11/05