内容説明
高知からの日本人留学生が遠くロンドンで割腹自殺を遂げた。死の理由に疑念を抱いた同郷の商人光明は、1人真相を追う。事件より遡っての土佐では、留学生の母むめと弟の東吉母子が、自由民権運動の昂まりに身を投じてゆく。やがて新聞を通じての言論活動に携わることとなった母子の運命が向かう先とは!? (講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
悠遠
8
イギリスのロンドンで留学中の青年が割腹自殺をした。なぜ彼は異国の地で、切腹をしたのか…。 高知とイギリスのロンドンの話が交互に描かれる。ちょっとミステリ風。高知では自由を求め、くすぶる様が延々と続く。方言なので若干の読みづらさはある。性の話は相変わらずで、古臭い考えの人、そうでない人がひしめき合っている。武士の妻は夫が死んでも貞操を守るべき、むしろ一緒に死ねの話はなんというか、そういう時代だったにしても男の付属品的な感じで窮屈そうだなぁと。自分の息子がそんなこと言ったら逆に気持ち悪くて勘当したい。2021/03/14
kamietel
6
★★★★☆明治初頭の自由民権運動が活発な土佐が舞台の作品。このところ、登場人物どもが繰り広げるミステリーに主眼を置いた本格ものばかり読んでいたので、自由民権運動を通して綴られる“人物の物語”は新鮮にすら思えた。もちろん前編を読んだに過ぎず、ミステリーと違って後編の展開の予想がつかないが、非常に楽しみです!2019/09/09
Yoichi Taguchi
2
坂東眞砂子&題名だけで内容を確認せずに読み始める。例によってホラー含みかと思っていたが、明治期の自由民権運動に携わる庶民(上巻では土佐が舞台)の歴史が全うに書かれている。時間軸が少し遅れる形でロンドンでの二人の日本人の死(自殺?他殺?)に対する追跡も始まる。坂東氏は作家生活も後半に入り、故郷の歴史を紐解き・残そうと考えたのか・・・と考えつつ下巻へ。2017/04/29
せん
1
初めてこの時代のものを読みました。読むつもりもなかったのに、どんどん引き込まれていきました。時代が変わっていく…生き方考え方が全く違う武士が時代・環境に適応していくのは本当に大変だったと初めて気づかされました…
おぎにゃん
1
自由民権運動を題材とした小説は初めて読むが、とにかく面白い。上下巻合わせて1000ページの大作なのに、あっと言う間に上巻読了。2013/09/10