内容説明
「近代」は16世紀オランダに始まった。ウォーラーステインの「近代世界システム論」を出発点に、近代ヨーロッパ勃興の過程を北のバルト海世界に注目して解明し、あわせて「最初の近代システム」オランダから、「最初の近代国家」イギリスへのヘゲモニー移動のプロセスを描く、グローバルヒストリー研究の最前線。(講談社選書メチエ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふみすむ
15
近世から近代へのヨーロッパ経済の中心の移動は、ただアムステルダムからロンドンに移ったという単純なものではなく、広範な地域や都市を巻き込んで相互に影響しながら達成された。本書はウォーラーステインの世界システム論を批判的に援用しながら、「近代」の出発点たる16世紀オランダからイギリスを中核とする「近代世界システム」の誕生に至るまでの過程を解明している。本書の独自性は、近世から近代への移行における、バルト海沿岸地域とハンブルクの重要性に注目している点である。2015/05/18
sonata
5
図書館。全体的に難しめ。西欧における経済史の知識があることを前提にしているかんじで、気軽な気持ちで手を出すと置いてきぼりを喰らう。なので、個々の詳しいデータは申し訳ないけれど流し読み(笑)アムステルダム、ロンドン、ハンブルグ、サンクトペテルブルクなど、それぞれ商業の重点となった都市の特色、そして商人による貿易のくだりは読んでいて面白かった。イタリアからオランダ、そしてイギリスへと至るヘゲモニーの遷移も興味深い。2017/05/12
MUNEKAZ
4
世界システム論を批判的に捉えながら、オランダからイギリスへの覇権交代を論じている本。ヨーロッパの物資や情報の結節点として繁栄したアムステルダムが、商人の移動によりロンドンやハンブルクも巻き込んだ商圏を作るようになるが、最終的にはナポレオン戦争によって大陸にあった二都市が没落し、ロンドンが独り勝ちしたというところか。あんまり読みやすい本ではないけれど、近代ヨーロッパの形成におけるバルト海交易の重要性がよくわかる。2016/09/26
\サッカリ~ン/
3
著者のメッセージは「もっとバルト海に注目しろ!」の一言に要約される。木材、食料、鉄。時代変われば品変わる。本書は話の展開として物流に主眼をおいており、欧州近代史におけるバルト海交易の必要と必然を説いている。特に、当時の欧州事情を踏まえた食料・木材供給に関するアムステルダム発展の過程と、その後表舞台に登場するハンブルグ、ロンドンとの交易産品・政治経済的な比較分析は必見である。読み始め当初は珍しい論理展開なこともあり難を感じたが、最終的には目から鱗へと変化した。本書を手にした方は是非最後まで読んで欲しい。2013/02/20
shou
3
地中海貿易の地位の低下は大航海時代の為ではないとして、アムステルダム経済の近代化を主張。アムステルダム故にハンブルクが興隆し、ロンドンへと繋がったという展開は面白い。どちらかというとハンブルクに関する記述の方が意外で印象深かったけれど。2012/12/30
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