内容説明
アキレスと亀のパラドクス、投資理論と無限時間、『ドグラ・マグラ』と脳の無限、悲劇の天才数学者カントールの無限集合論――。文学・哲学・経済学・SFなど様々なジャンルを横断し、無限迷宮の旅へ誘う!
目次
第1章 「瞬間」という迷宮―無限の発見!アキレスは今も…(日常生活の中の「無限和」 0.9999…は1と等しい? ほか)
第2章 「存在」という迷宮―無限をつかまえる「数」のテクノロジー(ギリシャ数学における存在の問題 「存在しない」数たち ほか)
第3章 「連続」という迷宮―無限が数学者の喉を噛み切る時(数学における「自由」と「革命」 フランケンシュタインの目覚め ほか)
第4章 「この世界」という迷宮―「無限の青空」を見上げることの数学小説の試み(世界N 世界Z ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kochi
20
アキレスと亀のパラドックスからスタートして、無限と言うものに対して数学者がいかに取り組んできたかを、わかりやすく解説。さらに、無限集合論を切り開いたカントールと「不完全性定理」のゲーデルの悲劇に焦点を当て、『ドグラ・マグラ』などの小説と集合論の関係に言及し、自作の小説が全体の四分の一を占めるという、異色の構成で意欲作。もともと、ボルヘスの「バベルの図書館」を読んで無限や対角線論法に興味を持ち、本書を手に取ったので、ボルヘスが紹介されているのも感慨深い。2016/08/07
BIN
6
ゼノンの2つのパラドックスから始まり、無限小や無限のことについてあまり数式を使わずに解説したもの。言われてみれば微分の定義で最終的には⊿t=0とするのでその式を定義式にしていいのかは改めて疑問に思いました。無限と言えばカントールですが、排斥されるくらいに攻撃されていたとは知りませんでした。それも有名なクロネッカーにより。なかなか勉強になりましたが、コーシー列はいまいち理解できなかった。最後の小説はいまいちですわ。2016/11/30
やす
2
なかなか難しい内容をがんばってわかりやすく説明しようとしているのが伝わる。 一般的な感覚と数学的な考え方が乖離していてきちんと理解しようとすればするほど訳わからなくなる2022/09/11
左手爆弾
2
人間は(何故か)無限を理解できてしまうが、だからといって体験できるわけではない。そのため、思考において無限が入りこむと問題がややこしくなったり解決不可能になってしまう。だからこそ、数学は無限の問題が生じたときに、なんとかして有限に引き戻すことで作業を進めようとする。有限回の手順を踏むことで無限について考えることができるというこの不思議な点を様々な数学の逸話とともに紹介してくれる。なお、後半の小説についてはほとんど飛ばし読みした。2020/10/05
無謀庵
2
「無限」を切り口に数学そのものについて掘り込んできた歴史の話として面白く読めた。数式が並ぶとわからなくなってくるけれど、まあ大まかな概念と論点がわかればなんとか読み進めることはできるたと思う。私は学問より学者が好きな節があるけれど、カントールはもちろん、ここではまるで悪役のクロネッカーも、また機会があれば何か読みたい。2016/10/02